エレファンテック 技術ブログ

フレキシブル基板製造開発ベンチャー企業 エレファンテック(旧:AgIC)株式会社の技術ブログです。

ガーバーの歴史と未来:標準ガーバー・拡張ガーバーの成り立ちと次世代のファイル形式

ガーバーファイル形式(Gerber file format)とはプリント基板業界でデファクトスタンダードとして用いられているファイル形式のことですが、元々はGerber Systemsという企業の独自のファイル形式でした。Gerber Systemsは1960年代にプリント基板の製造装置を含むベクター式のフォトプロッターで業界首位だったこともあり、ガーバーファイルは業界標準へとなっていきました。

ガーバーフォーマット、ガーバーデータなどとも呼ばれるこのファイル形式の歴史と未来について紹介します。

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標準ガーバーの成り立ち

1960年代、NCマシン用の言語として利用されていたGコードがEIA(アメリカ電子工業会)によって標準化され、RS-274と名付けられました。Gコードは現在まで非常に広く用いられている規格であり、Gerber Systemsは自社で開発しているフォトプロッター用のファイル形式にもGコードのサブセット(一部の仕様のみに限定した仕様)を採用しました。

その後もGコードはEIAによって改正され、1980年に最終改訂版であるRS-274-Dが策定されました。そして同年、Gerber Systemsが ”Gerber Format: a subset of EIA RS-274-D; plot data format reference book”(ガーバーフォーマット:EIA RS-274-Dのサブセット; プロットデータ形式の参考文献 )という書籍を出版し、初めてガーバーファイルの仕様が文書化されました。

これが現在「標準ガーバー」(Standard Gerber)と呼ばれるファイル形式です。

仕様が完全に公開されていたこともあり、標準ガーバーはベクターフォトプロッターのデファクトスタンダートして広く普及しました。標準ガーバーのことを単にRS-274-Dと記載することもしばしばありますが、正確にはRS-274-Dは標準ガーバーを含むより広い仕様のことを指しています。

ちなみに日本語の情報では「1979年にEIAによって規格化された」と書かれていることが多くありますが、1979年にRS-274-DがEIAで規格として提案され、策定されたのは1980年、そしてRS-274-Dのサブセットである標準ガーバーの仕様が文書化されたのが上記の通り1980年です。

拡張ガーバー(RS-274X)

標準ガーバーの規格は策定されたのは1980年ですが、1980年代には既にラスター式のフォトプロッターが広まり始め、それに伴い標準ガーバーもラスターデータを表現する仕様として変更する必要に迫られます。

そして1998年、Gerber Systemsを買収したBarcoにより ”RS-274X Format User's Guide” が出版され、現在「拡張ガーバー」としても知られるRS-274Xの規格が文書化されました。

RS-274Xは標準ガーバーの命令を拡張する形で作られ、RS-274Xに対応していないソフトウェアでも標準ガーバーとしても読み取れるように作られました。最も大きな変更は、他のファイルを利用せずにデータを表現できること、それから矩形を表現する機能が追加されたことです。標準ガーバーはベクターフォトプロッター向けの仕様だったため、大きな矩形は線分の集合として表現されていました。これはラスターフォトプロッターにとっては不要なばかりかファイルを不必要に重くしてしまう機能であり、矩形を線分の集合ではなく矩形としてそのまま表現できるようになったことは非常に有益でした。

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(残念ながら今でも矩形を線分の集合として出力するソフトウェアも存在します。)

ガーバーのこれから

ガーバーによって表現されるファイルは「ガーバーイメージ」と称されることがありますが、その名の通りパターン(銅箔の形状)等を画像として表現するには優れています。

しかし、プリント基板の製造や部品の実装のためには「その画像が基板のどの層なのか」といった情報や、部品表、穴開けデータなど、結局様々な種類のファイルが必要となってしまい、基板設計者と製造業者のコミュニケーションに手間がかかります。

そこでそれらの情報も含めたファイル形式が考案され、現在徐々に利用されつつあるのがGerber X2とIPC-2581の二つのフォーマットです。

Gerber X2

Gerber X2はUcamco(標準ガーバーの規格を作ったGerber Systemsを買収したBarcoが改名しました)が開発をしている規格で、2014年に公式に発表されました。基板の層・部品・ドリルデータなどの情報を1つのファイルで表現できるようになり、基板の設計者と製造業者とのコミュニケーションがより簡単になるとされています。拡張ガーバーを更に拡張した規格のため、設計者、製造業者、ソフトウェア開発者など拡張ガーバーを既に利用している人たちにとっても利用しやすいのも特徴です。

IPC-2581

プリント基板製造業者、ソフトウェア開発者らがアメリカのエレクトロニクス業界団体 IPC(IPC — Association Connecting Electronics Industries)の元に推進している規格で、日本からも富士通と図研が仕様の策定に参加しています。2004年に第一版の仕様が策定された後、2017年10月現在、2013年に策定されたIPC-2581 RevBが最新となっています。基板の層の順番や素材、部品実装のデータなどの情報が含まれ、設計者・製造業者・実装業者を効率的に結びつけることを目標にしています。

エレファンテックの対応

エレファンテックでも新しいファイル形式を積極的に採用することで、お客様とのコミュニケーションを効率化し、また製造時のエラーも減らせると考えています。

現在はRS-274XとPDFでのデータ入稿を受け付けていますが、今後はGerber X2の対応も予定しています。IPC-2581については未定ですが、プリント基板製造用の形式として一般的になってきた段階では対応を検討することになるでしょう。

エレファンテックのフレキシブル基板 P-Flex™の入稿ファイル形式についてはこちらもご覧ください。

  • フレキシブル基板 P-Flex™の入稿ファイル形式【初心者向け】

参考リンク

 

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(野村 浩気)

   

   

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