エレファンテック 技術ブログ

フレキシブル基板(FPC)製造開発ベンチャー企業 エレファンテック(旧:AgIC)株式会社の技術ブログです。

ガーバーファイルの閲覧方法:ガーバービューワーの紹介

ガーバーファイルはプリント基板の製造ファイル形式のデファクトスタンダードとして使われています。

ガーバーファイルの出力は様々な基板CADからできますが、出力されたガーバーファイルを確認する方法が分からないという声を聞きますので、無料で利用できるツールを3つ紹介します。

続きを読む

【フレキシブル基板を科学する! 後編】基板が薄いことによるメリットとは? 〜耐屈曲性編〜

f:id:agic_inc:20180214155257j:plain
【フレキシブル基板を科学する!シリーズ ライター自己紹介】
 筑波大学・修士1年。
 デジタルファブリケーションに関する研究をしている。
 ディズニー映画とディズニーランドとディズニー音楽が大好き。
 将来の夢は、ディズニー映画のエンドロールに自分の名前がのることです。

前の記事 >> 

こんにちは!学生ライターの小池です。
普段は情報系の大学院で、3Dプリンタを使った研究をしています。  


P-Flex™で製造・販売するフィルムが薄くなったことに関連して、なぜ基板が薄いといいのか?
そのメリットについて材料力学的に解説していく【フレキシブル基板を科学する!】シリーズですが、

前回のブログでは、曲げ剛性という観点から基板が薄いことによるメリットについて解説しました。

【フレキシブル基板を科学する! 前編】基板が薄いことによるメリットとは? 〜曲げ剛性編〜 - エレファンテック 技術ブログ

【後編】では耐屈曲性という観点からお話しします。


今回のブログのポイント

  • 板の屈曲に対する耐久性を表す概念として「耐屈曲性」がある。

  • 耐屈曲性」はいわば、フレキシブル基板が断線するまでの寿命である。

  • 寿命を伸ばすには、できるだけ1回の屈曲あたりに基板にかかる負担(=縁応力)を少なくしてあげれば良い。

  • 曲げる方向に対して板を薄くすると縁応力値が小さくなり、「耐屈曲性」が上がる。   

フレキシブル基板の用途と耐屈曲性

  フレキシブル基板には用途により、以下の2種類の配線方法があります。


1. 機器への接続後に動かすことはない、固定配線

  1. ヒンジ部*1などに使用され繰り返し屈曲する、可動部配線

2.のようなヒンジ部に使用される可動部配線の場合、繰り返し屈曲が起こります。

「薄くて柔軟性があること」こそがフレキシブル基板の醍醐味でありますが、
屈曲を繰り返せば回路は疲労し、いつかはヒビが入りやがて断線してしまいます。

せっかく電子辞書を買っても、数回開けただけで壊れてしまったら、悲しいですよね?

そこで「耐屈曲性」の性能をあげて、できるだけフレキシブル基板の寿命を伸ばしてあげることが、
繰り返し屈曲するような製品を作る上で非常に重要なのです。

さて!この「耐屈曲性」ですが、フレキシブル基板の厚さが薄くなることで、この性能が上がります。
というわけで、今回のブログでは、なぜ薄いと「耐屈曲性」が上がるのか材料力学的に解説します!

ここからは、下図のような厚み h、幅 b、長さ lの板を
 \theta度曲げることを前提に、図の簡易化のため青色の面を使って解説します

f:id:elephantech_shared:20180207142334p:plain

耐屈曲性を語るにあたって、縁応力を考えます

それは、縁応力が屈曲した際に板にかかる負担そのものだからです。

板を曲げると、以下の図のように中立面*2(黄)を境に、引っ張り力(赤)と圧縮力(青)がかかります。

f:id:elephantech_shared:20180131180650p:plain


この2種類の力ですが、曲げ変形の場合は断面に均一にかかりません。

以下のように、中立面に近づくほど応力*3が小さく、離れるほど大きくなります。

f:id:elephantech_shared:20180207132626p:plain


つまり、応力が最大になる地点は、板の上端と下端です。

この端っこにかかる応力を縁応力(ふちおうりょく)と呼びます。

この2つの縁応力のうち、引っ張るほうの縁応力が
フレキシブル基板の屈曲において断線の原因となるのです。

 

なぜ、縁応力が断線の原因になるの?

ではなぜ縁応力が断線の原因になるのでしょうか?

ここで下の図のようなたい焼きを半分こする時のことを考えて見てほしいのですが、

緑の矢印の方向に力を入れた際に、一番はしっこ(★の部分)から紫の矢印の方向へ割れていくと思います。

 

f:id:elephantech_shared:20180207132641p:plain


決してたい焼きのお腹から破けたりしませんよね。

繰り返しの屈曲で断線してしまうフレキシブル基板もたい焼きを半分こするときと同じで、

引っ張りの力がかかっている一番端の部分から、クラックが入り壊れていくのです。

これが、縁応力(=最端にかかる引っ張り応力)が断線の原因になる理由です。  
 

縁応力と板の厚みの関係

ここまでで、一番端の部分にかかる負担を少なくする(=引っ張る縁応力を抑える)ことで、

基板が壊れにくくなるということがわかっていただけたと思います。

縁応力 \sigma_{max}は板を曲げた時に生じる歪みから、

フックの法則を用いて以下のように求めることができます。

\begin{equation} \sigma_{max} = E\frac{\theta}{2l}hb \end{equation}

上記から、厚さ hが小さいほど、応力が小さくなるという、縁応力と板の厚みの関係がわかると思います!

つまり同じヤング率 Eの素材で、同じ幅 b・同じ長さ lの板を \theta度曲げる場合、

厚さ hが小さいほど、応力が小さくなり屈曲の際の負担が少なくなるので、耐屈曲性が上がるのです!!

細かい式変形は、おまけを参照してみてください☆



まとめ

耐屈曲性と基板の厚さの関係について、理解していただけたでしょうか?
薄い板の方が分厚いものよりも、一回の屈曲に対する板への負担が少ないため
なんども屈曲を繰り返すことができる(=寿命が長い)という内容でした。

世界ではじめての図書館(アッシュールバニパルの図書館)の資料は、全て粘土板だったそうです。
そのうち図書館の資料は、羊皮紙を使った巻子本(巻物)になるのですが、
その当時、羊皮紙職人が動物の皮を頑張って薄くしていたそうです。
当時の人は「記録媒体が薄いと丸められるし、持ち運びできるし何度も開閉できるから超便利じゃん!」
なんてテンションが上がったんじゃないかなあと思いました。

 


 

おまけ

  今回のブログでは、最大応力の式をお見せしましたが、
なんとなくしっくりきていない方も多いかと思います。

なぜなら、最大応力を求めるまでの式変形の部分を大幅に省いたからです!!!!!!!!!!!
このおまけ部分では、最大応力を求めるまでの式変形を解説したいと思います。

まず以下のように、厚さ h、幅が b、長さが lの板を  \theta曲げる場合に生じる歪みについて考えてみます。


f:id:elephantech_shared:20180207142309p:plain


上図、右側の黄色い線は中立面の長さを表しています。
 Pを通る面での長さ変化量 \Delta xについてまずは考えてみましょう!

上図で、右側の板を曲げる前と後でピンク色の線の長さがどれくらい変わったかが変化量 \Delta xです。
曲率半径を \rhoとすると、変形後に点 Pを通る面の長さは、  (\rho + y)\theta と表すことができますね。*4
よって、 \theta度、板を屈曲させた時の変化量 \Delta xは、変形後に点 Pを通る面の長さから、
変形前の長さ lの差をとって以下のようになります。

\begin{equation} \Delta x = (\rho + y)\theta - l \end{equation}

\begin{equation} \Delta x = (\rho \theta + y \theta) - l \end{equation}

ここで、 m = \rho \theta m  \simeq lより、*5

\begin{equation} \Delta x = y \theta \end{equation}

以上により、中立面から y離れた P地点を通る面の長さの変化量がわかったので、

 P地点での曲げた後の歪みは以下のように表すことができます。

歪みは、変形前から変更後への変量 \Delta xを元の長さ lで割ったものなので、
P地点での歪み \varepsilon_{P}は、

\begin{equation} \varepsilon_{P} = \frac{y \theta}{l} \end{equation}

ここまで、任意の点である P地点での歪みを求めてきましたが、

厚さ hの板を \theta曲げた時の端点での歪み \varepsilon_{max} は、
中立面から \frac{h}{2}離れた部分なので以下のように表すことができます。

\begin{equation} \varepsilon_{max} = \frac{h \theta}{2l} \end{equation}   ここでフックの法則より、ヤング率 Eと応力 \sigmaと歪み \varepsilonの関係は以下のように表されます。

\begin{equation} E = \frac{\sigma}{\varepsilon} \end{equation}

これに先ほど求めた端点での歪みを代入し、幅 b分もかけてあげることで、

\begin{equation} \sigma_{max} = E\frac{\theta}{2l}hb \end{equation} 

が求まるのです。

このおまけでは本文で省略してしまった、式変形の部分を解説しました。
ただ板を曲げるだけでも厚みだけでなく、
色々なパラメータが関わっていることにも気づいていただけたと思います!

私は、この記事を書くために材料力学の勉強をしていますが、
パラメータがたくさん出てくると、よく頭がこんがらがってしまいます(泣)

でも、悪戦苦闘しながらとっても楽しく記事を書いています!
今後もじゃんじゃんフレキシブル基板を科学していきたいと思います!

このブログで紹介・解説したことで、みなさんの生活や開発に少しでもお役に立てていたら嬉しいです(^^)

 

 

*1:例えば、電子辞書の折りたたみ部分に使用されます

*2:中立面とは、板を曲げ変形をさせた際に、引っ張り力も圧縮力もかからない部分のことを指します。耐屈曲性をあげるのに中立面に導体層を近づけるという方法も考えられますが、その話はまた今度...。

*3:いきなり応力という言葉に変わりましたが、応力というのは断面積あたりにかかる力のことです!

*4:円弧の長さがは、半径と角度の積で表せられます。

*5:中立面では、応力がかからないので板を  \theta曲げても  m  \simeq l が成り立つとします。

補強板の使い方【はじめようフレキシブル基板】

補強板とは

FPCの特定な箇所を厚く硬くするために使う板のことです。リジッド基板には無いフレキシブル基板(FPC)特有の工夫で、FPCの必要な箇所のみに接着します。

ガラスエポキシ、ポリイミド、PETなど様々な材料が使われています。

f:id:agic_inc:20180208152127j:plain

この写真では、上に飛び出している2つの腕の先端に透明な補強板が貼り付けられています。

補強板の目的

補強板を使う目的は主に二つです。

  • コネクタにFPCの厚みを合わせる
  • 部品を実装する部位を硬くする

コネクタ部の厚み合わせ

FPCコネクタ(FPCを挿し込んで使うタイプのコネクタ)の場合、適合するFPCの厚みが決まっています。厚すぎるとFPCが入らず、薄すぎると抜けてしまうからです。

コネクタの適合FPC厚は0.2mmや0.3mmなど様々ですが、FPCの厚み(通常0.1mm以下)と比べると非常に厚いので、FPCに裏板をあてることで厚さをコネクタに合わせます。

またコネクタに挿し込む箇所を硬くすることで、挿し込む作業が楽になる利点もあります。

部品実装部を硬くする

曲げられることはフレキシブル基板の大きな利点ですが、どこでも曲がって良いわけではなく、部品が実装されている箇所の基板は曲がらない方が望ましいです。

下図のように基板が曲がると、部品と基材の間に力がかかり部品が外れやすくなるからです。

f:id:agic_inc:20180208143047j:plain

補強板の設計

補強板の設計は、単にコネクタや部品を実装するエリアを囲うだけで問題ありません。

補強板の設計例

補強板の設計例(赤線が補強板)

部品を実装する部位などを細かい補強板に分けて設計するというアイデアも思い浮かびますが、補強板のカット・接着は手作業で行うメーカーが多く費用が高くついてしまうので、シンプルに大きい矩形で囲ってしまうのがオススメです。

コネクタの厚み合わせの場合も部品実装部の場合も、厳密にどこからどこまで補強板をつけるべきというルールは無いので、難しく考えなくて大丈夫です。

部品やコネクタの部位を全部囲うように大きく設計しましょう。

基板を注文する

通常、補強板はFPCメーカーが基板の製造と合わせて製造し、接着までしてくれます。

FPCを補強板込みで注文する際には、補強板もガーバーに出力して入稿することになるので、出力形式など詳細はメーカーの指示に従ってください。

エレファンテックでは、補強板のデータをシンボルのガーバーファイルにも出力していただいています。補強板の外形線を基板に印刷し、手で貼り合わせるときのガイドとするためです。

 

(野村 浩気)

www.elephantech.co.jp

www.elephantech.co.jp

   

   

お問い合わせ

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

エレファンテック技術ブログ【2018年1月の月間人気記事ベスト3】

エレファンテック技術ブログをいつもご覧頂きましてありがとうございます。
この前2018年がスタートとしたと思ったら、あっという間に2月になってしまいました。はやいものですね。
さて、先月の振り返り、ということで、1月の月間人気記事ベスト3をご紹介します。
続きを読む

【フレキシブル基板にチャレンジ!8】電卓編:基板設計リベンジ2

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

前の記事 >> 

こんにちは。平野です。

今回は前回に引き続き、二枚目の基板の設計を行っていきます。
後編の今回は、主にレジストの設定についてまとめました。kicadでのレジストの設定方法を書いたところ分量が膨れ上がってしまったため、kicad使いでない方にはわかりにくい内容かもしれませんが、どうぞお付き合いください!

基板設計!!(2回目) 前回の続き

3. パッドをレジストで覆いたい

基板の大まかな設計が終わったので、前回の設計ではスルーしていたレジストの設定を行います。この操作を行うのに際し、kicadにあまり慣れ親しんでいない私はそこそこ苦労してしまったので、ここでその操作について記述しておきたいと思います。
既にご存知、あるいはkicadに興味がない方はこの項目は読み飛ばしていただいても問題ありません。

  • レジストマスクデータの確認方法

白状すると僕はまずこの方法がよくわかっていませんでした…
もちろんプロットされたガーバーデータを確認するという方法はありますが、設計画面で確認ができないことには始まりません。
そのため、kicadには、ハイコントラストモードなるものが実装されています。この機能によって、特定のレイヤを見やすく表示させることができます。想定された用途は四層を超える基板の設計の際や、テクニカルレイヤを表示させたいときだそうです。今回はまさに後者の場合と言えますね。

ハイコントラストモードを有効にするには、kicadのpcbnewの左のツールバーにある以下の黄色の枠線で強調したアイコンをクリックします。

f:id:elephantech_shared:20180126194706p:plain

あとは、右に表示されているレイヤータブで表示したいレイヤーをクリックすると、そのレイヤーを表示させることができます。
以下はレジストマスクを表示させた例(今回の基板はシンプルすぎてつまらないので下は別基板の写真)

f:id:elephantech_shared:20180126194724p:plain

四層の基板とか普段設計しないので、こんな機能の存在は今回初めて知りました…読者のkicadユーザーの皆さんは果たしてご存じだったでしょうか?

  • レジストマスクデータの調整方法

こちらも調べた感じまとめているサイトがあまり見受けられなかったので少し丁寧に解説していこうと思います。方法は以下で紹介する二つが存在します。

  1. レジストマスクのクリアランスの設定を行う方法

この方法は、kicadが自動で出力してくれるレジストマスクデータの大きさを変更するという方法です。kicadは、パッドの図形を等倍した形のレジストマスクデータを吐いてくれます(下図左)。そのため、パッドの形と全く違った奇抜なレジストマスクは作成できませんが、すべてのパッドに対して一括での設定が可能なため、楽に設定を行うことができます。

▽元のパッド f:id:elephantech_shared:20180126194739p:plain

▽自動生成されたレジストマスク f:id:elephantech_shared:20180126194747p:plain

レジストマスク大きさはパッドの外形線とレジストマスクデータのクリアランスを設定することで変更が可能です。(クリアランス:上図の矢印で示した間隔の部分。上記は0.2mmで設定した例)

さて、kicadでのレジストのクリアランス設定についてですが、とりあえず公式のマニュアルの説明から一部引用します。

マスクのクリアランス設定値は、レジストレイヤとハンダペーストレイヤで利用されます。これらクリアランスの設定は、下記の段階ごとに設定可能です。

  • パッドごと。
  • フットプリントごと。
  • グローバル。


Pcbnew では、下記の順序で値が適用されます。

  • パッドに対する設定値(数値が入力されている場合):
  • フットプリントに対する設定値(数値が入力されている場合):
  • グローバルの設定値。

[引用:[pdf]Pcbnew - KiCad P.104]

だそうです。つまるところ、特定のパッドや部品について設定を行うことも、すべての部品に対して設定を行うことも可能ということですね。

Pcbnewにおいて以上の値の編集を行うには以下のような操作を行います。

  • パッドごとの編集:パッドを右クリック>[パッド]>[パッドを編集]
  • フットプリントごとの編集:フットプリントを右クリック>[フットプリント]>[パラメータを編集]
  • グローバルの設定値:上部ツールバー[寸法]>[パッド-マスク(レジスト)のクリアランス]

フットプリントエディタにおいてはパッド、フットプリントに対するの値の編集が行えます。
パッドごとの編集はPcbnewと同様に編集が行えますが、フットプリントに対する値の編集はこちらでは上部ツールバーにある[フットプリントのプロパティ]アイコンから行えます。

以上で紹介した方法を用いて、以下で実際にレジストがパッドを覆うようなマスクデータの出力を行ってみた結果が下の画像になります。

▽元のパッド f:id:elephantech_shared:20180126194931p:plain

▽自動生成したレジストマスクデータ f:id:elephantech_shared:20180126195037p:plain

レジストがパッドを覆うということは、マスクはパッドより小さくなくてはならないので、クリアランスは負の値をとります。今回は-0.05mmとして設定を行いました。

  1. レジストマスクレイヤに直接描画する方法

こちらは、1とは違い、自分でレジストマスクを描画する方法です。ちなみに、この方法は"レジストマスクを描き加える"ことはできても、"kicadが自動で出力したマスクデータを削る"ことができません。このように微妙に融通が利かず手のかかる方法ですので、可能な限り前者の方法で完結させることが望ましいでしょう。

以下で、パッドの上下のみをレジストで覆いたい場合を例に実際の手順について解説します。

まず、自動で出力されたデータをどうすることもできないので目標とするパッドのレジストのクリアランス値を十分に小さい値に設定し、マスクが出力されなくなるようにしてしまいましょう。

▽とりあえず絶対値がパッドの幅より大きい-1に f:id:elephantech_shared:20180126195137p:plain

▽自動生成されるはずのレジストマスクが消える f:id:elephantech_shared:20180126195146p:plain

あとはレジストマスクレイヤで適当に図形描画を行うだけです。ちなみに、自分で描画したレジストマスクは先ほど紹介したハイコントラストモードでなくても表示されるので、常にハイコントラストモードを有効にして作業する必要はありません。

f:id:elephantech_shared:20180126195424p:plain

  • 今回はどうするのか

今回は変な形のレジストを設計したいようなシーンはなかったため、基本的にレジストのクリアランスを-0.05mmに設定して自動で生成されたマスクデータを使用しました。
パッドの大きい部分に関しては、一部-0.1mmの設定にしてみました。
果たしてパッドははがれにくくなってくれるのか…それは次回までのお楽しみです。

実寸印刷してみる

基板の設計が終わったので実寸印刷を行ってみます。
kicadでは印刷のウィンドウの「概略スケール値」の部分で「正確な原寸」を選択すると実寸での印刷を行うことができます。便利…!

f:id:elephantech_shared:20180126195525j:plain

試しに組み立ててみたものがこちらになります。

f:id:elephantech_shared:20180126195553j:plain

f:id:elephantech_shared:20180126195615j:plain

あふれる小学生の夏休み自由研究感
セロハンテープを用いた雑な固定とかが良い雰囲気を醸してますよね

前回の没になったメンブレンも仮で巻いてみました。

f:id:elephantech_shared:20180126195643j:plain

最初の感想が「なんか草餅っぽい…!」だった私はきっと疲れていたのでしょう…。

それはさておき組み立てを行ってみたところわりと良い感じでしたね。
多少基板の大きさなどに微調整を加えたうえで、発注用のデータを作成していきます。

面付けしよう

発注用のデータを作る際に、面付けを行いましょう。
前回基板を発注した際、私は余ったスペースに面付けを行うことを完全に忘れており、1セットにつきメイン基板は一枚しか出力されませんでした。

f:id:elephantech_shared:20180126195753p:plain △左下の部分にメイン基板もっと配置することができたのに…

その結果、2セットしか発注しなかった前回ははんだ付けの練習できる回数に限りがありましたし、二回失敗してしまうともうやり直しができないという悲しい状況に陥ってしまいました。
ということで、今回は余ったスペースにはまんべんなく基板を配置することにしました。

f:id:elephantech_shared:20180126195806p:plain

とりあえずこんな感じでしょうか?

面付けの結果、未配線を示す白い線がめっちゃ出ちゃっています。
しかし、過去に出た質問 - KiCad.jp Wikiを確認すると

「ラッツネストが元データ間でつながってしまうが,問題はない.表示をオフにすれば見やすくなる.

[引用:過去に出た質問 - KiCad.jp Wiki ]

という力強い言葉が確認できるので、どうやら問題はないようです。
この仕様は問題ありありなような気もするのですが…

完成

というわけで発注用のデータが完成しました!ガーバーデータの出力に関しては【フレキシブル基板にチャレンジ!3】で紹介しましたので、そちらをご覧ください!

…せっかく完成なのに画像の一枚もないのは悲しいのでいちおうガーバーデータから一枚。表銅箔レイヤです f:id:elephantech_shared:20180126195824p:plain

まとめ&あとがき

今回はほとんどKicadのお話でしたね…kicad使いではない方々、ここまで読んでいただいて本当にありがとうございました。

さて、二回にわたり新しい基板の設計を行ってきたわけなので、【フレキシブル基板にチャレンジ!7】の冒頭で振り返った一枚目の基板の反省と、今回いかなる改善をしたかについてみてみましょう。

  1. コネクタに関する情報収集を怠った
    前回の記事でコネクタの選定の流れを紹介しました。まあ結局使うコネクタは変わらずFH12なんですけどね…

  2. 発注する前にテストをしなかった
    今回は部品も手元にありましたし、基板の実寸印刷を行って具合を確認できました!しかし実は基板の固定のテスト等はできていないのでまだ何かやらかしは起こるかも…?でも大きなやらかしは潰せたはず…

  3. レジストの調整を行わなかった
    今回はばっちりです!!!(フラグ)

  4. 練習用の基板を作らなかった
    メイン基板が一セットにつき一枚だった前回に比べ、今回はなんと一セットにつき四枚付いてくる!なんと4倍(当社比)!!

  5. ところどころ雑
    前よりはましなものができたと自負しています(圧倒的主観)

前回の基板設計から果たして進歩できているのかは、これからの組み立て編でおのずと明らかになります。信じて待ちましょう。

そんなわけで次回ははんだ付け&組み立て記事!なのですが…オフィスの移転等の影響で次回の更新はかなり先になってしまいそうです。ごめんなさい…

   

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。
https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

FPCコネクタの選び方【はじめようフレキシブル基板】

FPC(フレキシブル基板)を初めて設計する方に「コネクタは何を使ったら良いの?」という質問をよく受けます。

コネクタ選びは難しいようで、以前の記事(【フレキシブル基板にチャレンジ!5】電卓編:コネクタ)でも、初めてフレキシブル基板の設計をしたエンジニアがコネクタ選びを間違えてしまった話が面白おかしく書かれています。

この記事ではFPCコネクタの選び方を説明します。一度理解すれば簡単な話なのでこの記事を読んでから設計すれば失敗せずに済むはずです。

f:id:agic_inc:20180129172532j:plain

続きを読む

【フレキシブル基板にチャレンジ!7】電卓編:基板設計リベンジ1

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

 << 次の記事 前の記事 >> 

こんにちは。平野です。
今回から、一枚目の基板で得た教訓をもとに改めて新作基板を設計していきます。 前編の今回は、部品の選定から配線作業までで新しく行ったことを中心にまとめました。
(一枚目の基板の設計、実装については第2回、第3回、第6回の記事をお読みください)

目次

前回の反省点

新しい基板の設計に入る前に、前回の基板の反省点を具体的に振り返ってみましょう。

  1. コネクタに関する情報収集を怠った
    詳細は【フレキシブル基板にチャレンジ!5】で述べたとおりになります。正直これが一番致命的なミスだったかもしれません…。

  2. 発注する前にテストをしなかった
    できれば基板を発注する前に基板を紙に印刷して部品を乗っけてみるなどして設計ミスを探ることが望ましいですが、今回の設計では部品が届く前に発注を行ったため、そういった確認手段がとれませんでした。

  3. レジストの調整を行わなかった
    やらなくて失敗したらネタになるだろうと思いやらずに発注したのですがびっくりするくらいはんだ付け失敗の大きな要因になってもうほんとうにびっくり

  4. 練習用の基板を作らなかった
    たくさん発注しておけば練習できた、という意味ではありません。発注したデータには明らかに余っているスペースが存在したので、そこに同じ基板を乗っけておけば同じ値段でたくさん練習ができたのにね、というお話なのでした。正直当時はそこまで頭が回っていなかったですね…。

  5. ところどころ雑
    このまえのきばんなんかちょっとうつくしくないですよね(圧倒的主観)

もう少し慎重になっていれば、時間をかけて制作していれば回避できたのではないかというような問題が多く見受けられますね。
時間と手間を惜しんだ結果として再度発注、二度手間!というオチがついてきているとかもう目も当てられません。
まさに急がば回れ。石橋は壊さない程度に叩いて渡りましょう……。

さて、それでは気を取り直して新しい基板の設計に参りたいと思います!(お金の問題から目を背けながら)

基板設計!!(2回目)

1.前座

さて、改めて基板の設計を行っていくわけですが、回路や用いる部品は前回と同じものですので、基本的にそのへんのお話はすっ飛ばしていきたいと思います。詳細は第二回の記事をご覧ください。

ただし、前々回の記事でコネクタについての解説を行いましたので、コネクタの選定に関してのみ少し触れておきます。

  • コネクタの選定について

【フレキシブル基板にチャレンジ!5】で触れましたが、前回の基板では、当時コネクタについて何も知らなかったため、すべてヒロセ電機さんのFH12というFPC/FFC用コネクタを用いていました。しかし、今回はコネクタに関する知識をしっかり仕入れてきましたので、真面目にコネクタの選定を行います。

今回、メインのフレキシブル基板(FPC)と接続するのは以下の五つです。(カッコ内は接続先の基板の種類)

  1. メンブレンシート(FPC)
  2. LCDディスプレイ(リジッド)
  3. 書き込み機(リジッド)
  4. UART通信モジュール(リジッド)
  5. 電源

上記1に関しては、FPCとFPCの接続なので、満場一致でFH12の採用が可決されます。…前回発注したものがまだ余っていますし。
問題は2,3,4,5なのですが、こちらはフレキとリジッドの接続ですので、前々回の記事で紹介した基板対電線コネクタを用いれば配線が比較的きれいに収まってくれると思われます。

しかし、今回は以下の理由からヒロセ電機さんのFH12の続投を決定しました。
(ちなみに以下で紹介する理由は今回の場合にのみ適用されるような限定的な理由なので読み飛ばしてくださっても結構です)

  • 基板の上にLCDを乗せるという仕様上、場所によってコネクタの高さが異なることは都合が悪い
  • 基板対電線コネクタは取り外しの際に比較的大きな力がかかるので、パッドを剥がしそうで怖い(前回の基板でパッドを剥がして基板をダメにした前科がある)
  • 2に関しては、多少無理をしてでも薄いFPCケーブルを使って接続できるとむしろ収まりが良い
  • 3,4に関しては接続するのがデバッグのときのみなのでぶっちゃけ見栄えを気にしなくて良い
  • 5に関しては正直基板対電線コネクタを使ったほうがいいのだが、一つだけ基板対電線コネクタ使ってもバランスが悪い気がするのでもういっそのこと全部FHコネクタで統一したい
  • 基板対電線コネクタの候補として考えていたJSTさんのSUHコネクタ、コンタクトが小さすぎて手で圧着したくない
  • FH12を使わないと前回のときに発注してしまったFPCケーブルが浮かばれない(使わないと無駄な発注をしたことになってしまうので私もいたたまれない)

…割と適当な理由でFH12を選んだことがお分かりいただけたかと思います。
基板対電線コネクタも一度使ってみたかったですが、またの機会ということにしておきましょう。

前回の基板設計時はフットプリントがあまりにも手抜きだったので、今回はすこしまともなフットプリントを用意しました。

f:id:elephantech_shared:20180119153050p:plain

同時に、ケーブル側の端子のフットプリントも作成しました。

f:id:elephantech_shared:20180119152930p:plain

2.いざ配線

タイトルにデジャブを感じる…
フットプリントの用意が終わったところでPCBの設計を始めていくのですが、この作業も二回目ですし前回とはちょっと違うこともやってみようと思います。

  • ブリッジを無くしたい

フレキの片面配線しかできないという特性上、ブリッジが発生しやすいというのを第二回の記事で説明しました。事実、前回の基板では二か所のブリッジが発生していました。
しかし、はんだ付けをした時私は思いました。「ブリッジのはんだづけめんどくさい!!!」と。
というわけで、今回の基板設計では、できる限りブリッジをなくす方法を探ってみたいと思います。

  • 回路からいじってみる

配線を考えるとき、まずはじめに行うのは部品の配置・並び替えです。この時、部品の配置はなるべく配線の交差がなくなるように考えて行わなければなりませんし、自動化による最適化のできない部分です。
そこで、このパズルをできる限り簡単なものにするために、まず回路を必要最小限のもののみからなる構成に変えます。

例えば、今回の回路ではマイコンにLEDがつながっているのですが、LEDをつなぐIOピンは別にどこでもよいため、配線を終わらせてから都合のいいピンに追加することにしていったん回路から省くことにします。
また、今回AD変換は用いないため、マイコンのAD変換用の電源は繋がないものとします。

このように、後からどうとでもなるピンやいらない電源ラインをつぶすことで必要最小限の部品・配線で構成されるようになった回路をもとに配線作業を行います。

  • オートルータさんよろしくお願いします

というわけで適当に部品を配置したものをオートルーターにぶち込みます。今回は何となくマイコンをナナメにしてみました。

f:id:elephantech_shared:20180119153111p:plain

やはりオートルーターさんでも完全に片面配線で終わらせるのは無理でした…一か所配線ができない模様です。

  • 無理やり調整

どうやら正攻法では片面配線は実現できないようなので、ここからは少々無茶な手を使って無理やり片面配線を実現させていきます。

オートルーターが吐き出した結果を見るに、配線できていない箇所は下の水色の線のようなルートの配線ができれば解決できそうです。問題なのは配線が交差してしまう、赤丸印をつけた二か所ですね。こいつらを攻略していきます。

f:id:elephantech_shared:20180119153128p:plain

上では、下図で赤色の線で示した電源ラインが邪魔をしていたので、今回は無理やり電源ラインを迂回させることを考えます。この場合、電源ラインが下図のオレンジの線のようにマイコンの下を潜れれば解決するので、3V3がかかっても問題なさげなマイコンのピンに電源を通し、オレンジの配線を実現しました。 これで一か所攻略完了というわけです。

f:id:elephantech_shared:20180119153154p:plain

下では、下図で赤色の線で示したマイコンからコネクタに伸びている配線が邪魔です。こちらは邪魔な配線のほうをどかすのは困難なようなので、こちらがよけることにします。
オレンジのラインのような配線が実現できればこちらも解決できそうですね。

f:id:elephantech_shared:20180119153217p:plain

そこで、下のほうにあるコネクタは別にピン数がいくつであろうと大きな問題はないので6ピンから8ピンにし、追加した2ピンに配線を通します。(青で囲んだパッドが新規に追加されたもの。黄色矢印で示した配線を今回新たに追加した。)

f:id:elephantech_shared:20180119153234p:plain

さて、上で紹介した方法で、なんとか無事片面配線を完遂することができました。
良い感じに配線ができることが分かったので、あとは部品もいい感じに配置しなおして完成(仮)です。

f:id:elephantech_shared:20180119153251p:plain

  • 最初に省いた機能を付け加える

配線を簡単にするためにLEDをなくしていたので、あらためていい感じにつけられそうなピンを探してくっつけます。40,41ピンにくっつけると丸く収まりそうなのでそこに追加。ついでに電源ledも追加しておきました。

f:id:elephantech_shared:20180119185953p:plain

これでメイン基板は完成です!(なんかいい感じだったので3Dビューア)

f:id:elephantech_shared:20180119153329p:plain

  • FPCケーブルの設計

普通のケーブルを用いることを想定していた前回の基板と異なり、今回は各基板をFPCケーブルで接続します。そのため、左右のずれがないようにきちんと考えて設計をしなければなりません。
余談ですが、kicadで基板の外形を描くのは少々面倒くさいので、他のCADで外形を出力すると便利です。といいつつ、今回は普通にkicadで外形も描きました…。

f:id:elephantech_shared:20180119153347p:plain

ちなみに、真ん中にあいている穴には、メンブレンシートからのびてくるFPCケーブルを通す予定です。FPCの薄さを生かした使い方の一つですね。具体的にどのような構造になるのかについては、後日組み立てた写真を(今度こそ)公開するはずなのでこうご期待!

  • メンブレン

メンブレンも前回と大体は同じなのですが、各種接続方法を変更しました。
前回は二枚あるメンブレンシートのそれぞれを直接基板に繋いでいましたが、コネクタが多いと邪魔なことに気が付いてしまったので、今回はまずメンブレンシートとメンブレンシート同士をコネクタを使わずに接続し、片方のメンブレンシートとマイコンを接続することにしました。
ではメンブレンとメンブレン同士をコネクタを使わずに接続ってどうすんねんって話ですが、今回は以下のような基板を設計しました。

f:id:elephantech_shared:20180119153439p:plain

水色の印をつけた個所にご注目ください。
二枚のメンブレンシートを向かい合わせでくっつけると、このパッド同士が接触し、導通するという寸法なわけです。
もちろん接触するだけでは確実に導通はしないので、今回はこのパッド同士をはんだ付けする予定です。
そんなことできるのか、という話ですが、前回作った基板等で試しにやってみたところ、意外とうまくいくことがわかりました。
ただし、温度の調整等をミスすると途端に基板がゆがむという問題付きです。本来は推奨されない方法かもしれないですね…
詳細な方法については後日、はんだ付けをする記事を公開する予定ですのでそちらで触れたいと思います。

  • 完成(仮)

以上で基板の大まかな設計が終わりました。あとは調整等をして発注用のデータを作っていくだけです。張り切ってまいりましょう!!

f:id:elephantech_shared:20180119153920p:plain

今回はここまで

さて、基板設計について書くことはまだまだたくさんありまずし、前項ラストでも張り切ってまいりましょうとか言ったばかりではありますが、配線の説明が思いのほか長くなってしまったので今回はここまでです。
前回の教訓を生かし、手間を惜しまず設計を行ったのでなかなか良い感じの基板ができそうな気がしますね。

後編では、レジストの設定などを行い発注用のデータを作成していきます。
次回もどうぞよろしくお願いします!

おたよりコーナー

先日、とうとう本シリーズに初めてコメントをいただきましたので、ここで紹介をさせていただきたいと思います。
コメントの内容は前回の記事で紹介したはんだ付けについて。はんだ付けの際、セラミックヒーターの上において基板への予熱を行うことで、対象物のヌレを改善できるのではないか、というアドバイスでした。
確かに我々、慣れない低温はんだにかなり苦しめられていましたし、この方法は一度試してみたいですね…次の機会に試してみたいと思います。

コメントありがとうございました!励みになるので、どんな些細なことでもコメント、アドバイス等お待ちしています。今後ともよしなにm( _ _ )m

   

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。
https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

【フレキシブル基板を科学する! 前編】基板が薄いことによるメリットとは? 〜曲げ剛性編〜

f:id:agic_inc:20180214155257j:plain
【フレキシブル基板を科学する!シリーズ ライター自己紹介】
 筑波大学・修士1年。
 デジタルファブリケーションに関する研究をしている。
 ディズニー映画とディズニーランドとディズニー音楽が大好き。
 将来の夢は、ディズニー映画のエンドロールに自分の名前を乗せることです。

 << 次の記事

こんにちは!学生ライターの小池です。
普段は情報系の大学院で、3Dプリンタを使った研究をしています。


さて、P-Flex™ではこれまで製造・販売してきた125μmのフィルムより75μm薄い、
50μmのフィルム上へのパターン形成が可能になりました。このことにより、基板自体の厚みも従来より薄くなりました。

基板が薄くなると、曲げ剛性が下がりフレキシブル性が上がるといったメリットや、

厚いものに比べて、基板にかかる縁応力が小さくなり耐屈曲性が上がるといったメリットがあります。

今回のブログから前編と後編に分けて、
基板が薄いことによるこれらのメリットを材料力学的に解説します。

【前編】基板が薄いことによるメリットとは?〜曲げ剛性編〜
【後編】基板が薄いことによるメリットとは?〜耐屈曲性編〜


【前編】では、曲げ剛性という視点から、基板が薄いことによるメリットについて解説します。

☆ 今回のブログのポイント☆
  • 板のフレキシブル性を表す概念として「曲げ剛性」がある。

  • 曲げ剛性は、素材のヤング率 Eと断面2次モーメント Iの積で表される。

  • 断面2次モーメントは板を曲げる向きと断面形状で決まる。

  • 曲げる方向に対して板を薄くすると断面2次モーメントの値が小さくなり、曲げ剛性が下がる。



曲げ剛性とは?

曲げ剛性という言葉はフレキシブル性を表しています。
曲げ剛性が大きいほど、曲げづらい、フレキシブルではない素材です。

電子回路基板のフレキシブル性を上げるには?

電子回路基板のフレキシブル性を上げる主な方法としては、

  1. フレキシブル基板の厚み*1を薄くし、曲げ剛性を下げる

  2. 柔軟性のある材料を利用する

この2つの方法が考えられます。


今回、P-Flex™では 1. の方法のように
これまで製造・販売してきた125μmのフィルムより薄い
50μmのフィルムに代わることで、電子回路基板のフレキシブル性を向上させました。

では、なぜ薄い方がフレキシブル性があがるのか。という点について
材料力学的に見ていきましょう。


板の曲げ変形は曲げモーメントによって生じる

板の曲げ変形は、曲げモーメントによって生じる変形です。

単一素材の板を曲率 \phiまで曲げる時に必要な曲げモーメント M
それによる変形(どれくらい曲がったか、曲率 \phi)は、
ヤング率 Eと断面2次モーメント Iを用いて、以下のように定式化されています。


{\begin{equation}
M = EI\phi
\end{equation}
}

上記式のうち、 EIの部分が、まさしく、単一素材の板の曲げ剛性*2を表す指標なのです。


{\begin{equation}
曲げ剛性 = E \times I
\end{equation}
}


曲げ剛性を小さくすることで、板を曲げたい時に必要な曲げモーメントを減らすことができます。
つまり、曲げるのに必要な力を減らすことができるため、
曲げ剛性の小さいフレキシブルな板に近づかせることができる、ということです。

曲げモーメントの板の薄さの関係

では次に、曲げ剛性に板の厚さがどう関わっているのか見ていきましょう。
ヤング率 Eは素材により決まる値です。
断面2次モーメント Iは素材の断面の形状と曲げる向きによって決まる値です。

f:id:elephantech_shared:20180117151450p:plain
板を曲げる例
断面が厚さ h、幅 bの上図の板を厚さ hに平行な向き(赤い矢印の向き)に曲げようとする場合、
断面2次モーメントは以下のように定義されます。



{\begin{equation}
I = \frac{bh^3}{12}
\end{equation}
}


上式から分かる通り、厚さ hが大きいほど断面2次モーメントは大きくなります。*3

以上から、同じヤング率 E と 幅 bの厚みが違う板が複数あった場合、
厚さ hが大きいものほど曲げ剛性の値は大きくなり、
逆に、
厚さ hが小さいものほど、曲げ剛性の値が小さくなり、
曲げやすいフレキシブルな素材に近づくと言えるでしょう。

ちなみに

断面2次モーメントは曲げる向きによって変わります。
もし今回の上図の例で幅 bとした辺に平行な向きに曲げようとする場合、
断面2次モーメント I'は以下のようになります。


{\begin{equation}
I' = \frac{hb^3}{12}
\end{equation}
}



まとめ

以上、曲げ剛性という視点から、基板が薄いことによるメリットについて解説しました。
基板が薄いと曲げ剛性が下がるので、フレキシブル性が上がるという内容でした。
基板の厚みと曲げ剛性の関係についてわかっていただけましたでしょうか?

私はかなりの寒がりなので、冬はたくさん着込みすぎて腕が曲げづらくて困っていたのですが、
最近は薄くても保温性の高いインナーが多いので、冬にたくさん着込んでも着膨れせず動きやすくていいです◎
薄いと曲げ剛性が下がって嬉しいのは、基板だけじゃないですね(^-^)v

【後編】では、耐屈曲性という観点から、基板が薄いことによるメリットについて解説します。

*1:フレキシブル基板の厚み=フレキシブル基板を構成する各材料の厚みの和

*2:電子回路基板のような集成板の曲げ剛性は、各層の曲げ剛性の総和で求められます。

*3:断面2次モーメントの式から分かる通り、幅 bを広くしても曲げ剛性を小さくすることができると言えるでしょう。しかし厚み hには3乗がかかっているぶん、曲げ剛性の大きさに効きやすいのです。

東京工業大学 ロボット技術研究会主催プチコン(2017/12/22)の公式スポンサー報告

2017年12月22日、東京工業大学 ロボット技術研究会(以下 東工大ロ技研)主催のプチコンが開催され、ライントレース部門と、マイクロマウス部門(クラシック&ハーフ)の競技会が行われました。

今回、エレファンテックは公式スポンサーをさせて頂きました。
ちょっとご報告遅れましたが、当日の様子をお知らせいたします!

(東京工業大学 ロボット技術研究会公式ブログ 公式サイトはこちら)
第一回プチコン – 東京工業大学 ロボット技術研究会公式ブログ

まず、プチコンを主催した東工大ロボット技術研究会の"のものも"さんにエレファンテックからの副賞をお預けしました! 内容はラズパイやPINE64です。



プチコンというのはスマートフォン程度の大きさのマシンがマス状に区切られた迷路を解くという競技です!マイクロマウス競技会のルールに則って行われています。


twitter.com






福井大学からお越しのからくり工房I.Sysのお二人。 P-Flex™の宣伝をさせていただきました! 片面のフレキシブル基板(FPC)でも機体の軽量化やフォトインタラプタの設置自由度の向上目的、書き込み基板の部品付きケーブルに使いたいとのことです。


twitter.com



 



東京理科大Miceの皆さんにもサンプルを手にとっていただきました!カーボンでフレーム組んで最軽量を目指したいなど、早速議論を始めていました笑

 

 




突発でプチコンのスポンサーさせて頂きありがとうございました! 東工大ロ技研、理科大Mice、福井大からくり工房の皆様、また今日直接お話できなかった方も引き続き良い成果が出せるよう応援しております!


 
-----------------------------------------

以上、有志主催のロボコン、「プチコン」を応援させていただきました。
エレファンテックは安くて早いフレキシブル基板(FPC)を通じてロボコン文化だけでなく製造業の発展にも貢献していきます!
中ロット、大ロット生産までシームレスに対応可能な P-Flex™は、既にご利用頂いているメーカー様から大変好評を頂いております!

 

(竹尾 淳司)

   

www.elephantech.co.jp







【フレキシブル基板にチャレンジ!6】電卓編:実装挑戦

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

 << 次の記事 前の記事 >> 

こんにちは。高橋です。
シリーズとしては6回目となる今回は、完成した基板に部品を実装する過程を書いた記事となります。
波乱の幕開けです。

序章

本来この組み立ては相方の平野が行う予定だったのですが、途中で私に交代することになりました。
その理由を語るには、平野の犯した大きな過ちに触れなければなりません…

基板死にたまふことなかれ

意気揚々とフレキシブル基板を袋から取り出し、0.8mmピッチのピンを持つマイコン"ATmega32u4"と共にテープでテーブルに固定した平野。
はんだごてをセットし、加熱が完了したのを確認していざコテ先を基板に当てる…

平野「あれ? なんかこれ融けてね??」
高橋「融けてね? じゃねーヨ!!!」

一般的なはんだの融点は180~200℃で、今回はんだごてのコテ先の温度は300℃程度に設定してありました。
そして、P-Flex™のベースフィルムであるPETの融点は260℃。
(参照記事:エレファンテック技術ブログより ベースとなるフィルムの材質の違いについて )
そりゃあ融けます。
おかげで今回印刷した基板2枚のうち片方が早々に成仏することとなりました。

このような事態を招かないよう、皆さんは必ず低温はんだと低温はんだ用はんだごて(或いは温度を低めに設定できるはんだごて)を使いましょう。
低温はんだについては、エレファンテック技術ブログ・「低温はんだは壊れる」は昔の話!低温はんだとはんだの歴史に詳しい記事があります。

自分、不器用ですから

いきなり本番に挑むという愚行を反省し、まずはちゃんと低温はんだを使って練習をしようということになりました。
最初に使ったのは、エレファンテックの親切な社員さんから頂いた、銅めっきを施したのみの失敗作であるらしいフレキシブル基板。
次に、一部融けてしまった基板の無事な部分を使って0.8mmピッチピンのはんだ付けの練習。
此処ではんだ付け能力を比較した結果、私が代わりにはんだ付けをすることとなりました。
まあ、0.8㎜ピッチのはんだ付けはかなり大変です。精神力もゴリゴリ削られるので、失敗が怖い方々は発注の際に実装も頼んだほうが良いでしょう。
(と、私は割と余裕ぶっこいていました)

余談:工業的なはんだ付け

工業的なはんだ付けの方式には、主にフロー方式とリフロー方式があります。
フロー(噴流)方式は、あらかじめ基板上に部品を固定した上で融解させたはんだを吹き付けるという方式です。
リフロー方式は、微細なはんだの粒子とフラックスを混ぜたはんだペーストを基板上に塗布・印刷し、その上に部品を載せてから基板を高温にすることではんだを融かしてはんだ付けするという方式です。
エレファンテックではリフロー方式によるはんだ付け実装をオプションで申し込むことが可能です。

いよいよ本番

十分に練習とイメトレを終え、いざ、残り1枚の基板にはんだ付けを開始。

ところで、こうしたピッチの狭いピンをはんだ付けするときに最も起こりやすいミスはブリッジという現象です。
隣り合うピンに橋が架かるようにしてはんだが吸い付いてしまうのでブリッジと呼ばれます。つまり意図しない短絡が起きてしまうということです。0.8mmピッチともなれば、一度ブリッジができたら切り離す方法は中々ありません。
数少ない有効打の一つが、はんだ吸い取り器と呼ばれる器具を用いて余分なはんだを融かしながら吸い取ることです。
今回もはんだ吸い取り器の力を借りてブリッジを消しながら、何とかはんだ付けをこなしていきました。

ただ、此処で基板設計上の問題が発覚。なんとパターン外周を覆って保護・補強するはずのソルダーレジストがパターン外周部を覆い切れていなかったのです。

まあそもそもブリッジが出来なければこれらもあまり問題にはならないのですが……私のはんだ付け力が及ばず、ブリッジを作ること十数回。ブリッジ消去の最中にはんだ付け時に数か所のパターンが断線! また部品固定時に張り付けたテープを剥がすときにフットプリントの1つが丸ごと剥がれてしまいました!
失敗が怖い方々は~~~などと言っておきながらこの様です!!

△完成してそうなのに…どうして… △赤の〇の箇所が断線、黄色の〇の箇所はフットプリントが剥がれています…

f:id:elephantech_shared:20171222140847p:plain f:id:elephantech_shared:20171222140854p:plain △解説図。薄い緑がレジスト、黄色がパターンです。 まあ剥がれますよね。

ソルダーレジストについて

こんにちは、平野です!基板融かしましたごめんなさい!!!基板のお話ということで一時的に出没させていただき、レジストについてお話していきたいと思います。
(「レジスト」という言葉がわからない方はこちらの記事:フレキシブル基板 P-Flex™の用語解説【初心者向け】の[レジスト]の項目を参照してください!)

第2回で基板を設計し、様々な修正を施しましたが、実はレジストに関する調整を完全にスルーしていました。

本来、フレキシブル基板の設計を行う際、エレファンテック技術ブログ・フレキシブル基板(FPC) P-Flex™️ 設計のコツ「レジスト・シンボル・外形編」で解説しているように、パターンの剥離を防止するためにレジストはパターンより一回り小さくする設計が推奨されています。
このような調整を行わないと、銅箔が剥がれやすくなってしまう恐れがあるのです。

と、いうことを。正直に言うと私は設計を行っている時点では知りませんでした。
このことを知ったのは基板を製造に回し、社員のNさんに「レジストこれで大丈夫?」と聞かれた時でした。
さらに、kicadではレジストマスクデータは自動で出力されるため、修正するのが少々面倒です。そのため、今回は社員のNさんとの相談の結果「剥がれたらそれはそれで記事のネタになるし…」ということでそのままで発注を行いました。

そんな経緯を経て、今基板が届いてはんだ付けを行っているわけですが、

びっくりするほど簡単に銅箔がはがれました。

適当な主観で述べますが、ちょっと剥がれやすくなるどころではなかったです…。
設計の際はパッドの外周をきちんとレジストで覆いましょう。
本当に大事なことだと思ったので改めて同じリンクを貼っておきます。
エレファンテック技術ブログ・フレキシブル基板(FPC) P-Flex™️ 設計のコツ「レジスト・シンボル・外形編」

作り直し

パターンが断線した部分は元々パターンを引けなかった箇所と同様にジャンパ線で飛ばせばいいのですが、今回はなんやかんやで3か所以上断線してしまいました。
また、コネクタのサイズの事を考えずに設計していた点やレジストの件等、こうした設計上の問題が山ほどあることが判明。

ということで、一度基板を再設計してやりなおすという事になりました。
また、手作業でのはんだ付けに限界を感じたため、次回の製作ではエレファンテックにあるリフロー炉を使わせて頂くことにします。
ちなみに今回の基板はメンブレンシート部も合わせて1枚2万7000円ほど、今回ダメにした基板は面積比から単純計算して1枚1300円程度でしょうか。
それを2枚なので計2600円の損失となります……最初からリフロー炉を使っておけばよかったですね、はい。

まとめ

初めての設計・初めての対フレキはんだ実装なのだから、失敗の一つや二つはするだろうとは思っていましたが……ここまでトラブルがあるとは思っていませんでした。高い授業料を払う羽目に。

一連の基板設計・組み立てで発覚した主な問題・失敗をまとめておきます。

1. レジストでパターン外周部を覆っていなかった
2. コネクタの固定用フットプリントの存在を知らなかった
(故にコネクタのサイズの概念も失念していた)
3. 高温はんだ用はんだごてを使ってしまった
4. 自らのはんだ付け力を過信してしまった!!!

人は無力ですね。
次回は第7回目、基板設計リベンジ回です。
kicadでのレジストの調整方法や、新しい配線パターンなどについて解説します。

参考文献

http://www.adogawa.co.jp/部品実装/3190.html
http://panasonic.co.jp/ism/handa/001a.html
https://product.tdk.com/info/ja/techlibrary/archives/techjournal/vol05_mlcc/contents03.html
(以上、フロー・リフロー方式はんだ付けについてのページ)

   

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。
https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

フレキシブル基板が導入される背景とその実例

フレキシブル基板は普通のプリント基板(リジッド基板)と比べると、気軽には利用できません。

取り扱いは難しく、設計にも工夫が必要ですし、価格もリジッド基板より高いからです。それではなぜフレキシブル基板の利用が進んでいるのでしょうか?

フレキシブル基板には欠点も多くある一方、リジッド基板の問題を解決してくれる面もあります。そのメリットとデメリットを比較した結果、フレキシブル基板の導入が進んでいるのです。

続きを読む

エレファンテック技術ブログ【2017年人気記事ベスト5】

エレファンテック技術ブログをいつもご覧頂きましてありがとうございます。
2017年最後の記事は、総まとめとして「総滞在時間数」の結果をもとに【2017年人気記事ベスト5】をご紹介します。

ところで「エレファンテック技術ブログ【11月】人気記事 月間ベスト5」の記事では、
第一位から順に発表してしまいワクワク感がないというご意見を頂きました。確かにそうですね。と言うことで今回は第五位から順に発表いたします。
続きを読む

【フレキシブル基板にチャレンジ!5】電卓編:コネクタ

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

 << 次の記事 前の記事 >> 

こんにちは、平野です。
フレキシブル基板にチャレンジ!電卓編5本目の記事です。

第2回・第3回で基板設計を行いましたが、その際あまりにコネクタに関して無知すぎたため、様々な修正が必要になりました…。
そのため、今回は基板設計の補足として、コネクタに関するやらかしやその他についてまとみていきます。
これから初めてフレキシブル基板を設計する方はぜひ参考にしていただければと思います。

それでは、今回もどうぞよろしくお願いします。

目次

基板設計編のやり残し

さて、皆さんの記憶にも新しい(はずの)、当企画第2回・後編の記事で、基板データが完成しました。 しかし、実はkicadで設計するべきものはほかにも残っていたのです。 それは、コネクタ用のケーブルです。

1. コネクタ用のケーブルとは?

ここまで記事を読み進めてこられた皆様は、おそらくこう思われたことでしょう。
「なんでこいつは基板とコネクタ用のケーブルを同時に設計しなかったんだ?」
と。
正論です……!ですがしかし、これには非常に深いわけがあるのです!

当初、コネクタのケーブルと聞いて、普段リジッド基板しか使ってこなかった私はまずこちらのようなケーブルを思い浮かべました。


(引用:10Pリボンケーブル(フラット・カラーケーブル) - 秋月電子通商

しかし私は、基板のデータを仕上げて発注に回した後、衝撃の事実に気が付いてしまいました。
今回用いたコネクタは、下のような薄っぺらいケーブルを用いるタイプだったのです!


(引用:フレキシブルフラットケーブル - TOTOKU

さて、このなにやらペラペラのケーブル、おそらくあまり馴染みのない方もいらっしゃると思いますので、ここでいったんケーブルについて紹介しておきたいと思います。

  • ケーブルについて

先ほどのような薄いケーブルには、主に2種類が存在します。

  1. フレキシブル基板(Flexible printed circuits : FPC)

まずはみなさんご存知、フレキシブル基板です。これは単純に、写真のようなケーブルをフレキシブル基板の製法と同様に作ったものです。フレキの特徴については今更過ぎますしここでは特に紹介はしないことにします。(改めてFPCについて知りたい方はこちら、エレファンテック技術ブログ-フレキシブル基板(FPC)とは【初心者向け】をご覧ください!)

  1. フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable : FFC)

次にFFCの紹介です。こちら、機能はFPCと大した違いはありませんが、実は製法が異なります。FFCはもとよりケーブルとして用いるために作られるものですので、その製法は「薄っぺらい導体を絶縁体で覆う」という、至極単純なものなのです。そのため、こちらの製品はFPCに比べ、安く製造することができるという特徴があります。

なにやらペラペラなケーブルの詳細を知ったところで、次に一般的なケーブルと比較した際の長所や短所を紹介します。

  • FPC/FFCの短所

・平べったいケーブルの面に対して水平な方向に曲がらないため、厳密な設計が必要となる
・一般的なケーブルに比べ、単位長さ当たりの抵抗値が大きく、大電流を流すことはできない

(2018/1/26追記:FFCは、上で紹介した画像の右下のように折り曲げて使うことも頻繁にあるそうなので、厳密には"面に対して水平な方向に曲がらない"というのは正しくありません。そのため、この短所はFPCにのみ当てはまるといえます。)

  • FPC/FFCの長所

・一般的なケーブルに比べ薄く、場所を取らない
・高密度な配線が可能

FPC/FFCの特徴、十分におわかりいただけたでしょうか。やはり薄いというのは魅力的な要素ですが、当然短所も発生してきますので、使用する際は注意して設計を行いましょう(自戒を込めて)。

とまあそんな経緯で、FPCの追加の設計&発注が発生したのでした……

2. ケーブルを設計しよう

FPC/FFCについて知見を得たところで、ここからは実際にケーブルの設計を行っていくわけですが、今回私たちが設計するのはFPCのほうです。

まずは単純なケーブルから設計します。

とりあえず4極と5極のケーブルを設計してみました。

しかし、さらに設計をするにあたり一つ問題が発生しました。
FPCを用いて接続する先に、リジッドの部品があったのです。
例えばLCD、これはFPCを下のようなリジッド基板に接続する必要があります。


(引用:I2C接続小型キャラクタLCDモジュール(16x2行・3.3V/5V)ピッチ変換キット - 秋月電子通商

そこで、今回は下のようなケーブルを設計し、パッドの大きいほうにワイヤーをはんだ付けをすることにしました。

ところで、実はこの方法、かなり頭の悪い方法です。
今回はFFC/FPC接続コネクタを用いるため上記のような方法をとりましたが、実は基板対電線のコネクタもしっかり存在しているので、本来であればそちらを用いることが望ましいと思われます。
そういった別の種類のコネクタについては、後ほど[コネクタの選定について]の項で紹介することにして、次に進みたいと思います。

3. 補強板を設計しよう

前項でFPCケーブルを設計しましたが、実はあれだけでは用いることができません。 コネクタ回りでFPCを用いるには、「補強板」というものが必要になります。

  • 補強板とは?

まず、FPC/FFC用のコネクタを横から見た時の断面図が下の図になります。

△ストッパー部が回転します

このコネクタに製造したケーブルをそのまま挿入すると、下の図のように、ケーブルとコネクタの間に隙間があいてしまい、固定をすることができません。

ここで登場するのが、補強板です。

このような小さい板をコネクタの先に取り付けることで、先ほどの図で生じていた隙間を解消することができます。また、補強板を取り付けた個所は丈夫になるので、抜き差しの際の基板への負荷を抑えることにも繋がるのです。

(説明の図は高橋君が作ってくれました。ありがとう!!)

  • 補強板の製造

前項では、補強板に必要性について解説を行いました。しかし、補強板が必要と言われてもどうやって用意すればよいかわからないと思いますので、ここで補強板の製造方法について説明していきたいと思います。

といっても、実は補強板の製造はとても簡単です。
エレファンテックさんが、基板の製造時に補強板の製造も受け付けてくれる(有料)のです!

というわけで、補強板が必要な時は基板のデータと同様に補強板のデータも用意して発注を行いましょう。
データの形式は、基板と同様のガーバー形式や、CADなどで出力できるdxf形式などに対応しているようです。

  • では設計しよう

先ほど設計したケーブルのサイズに合わせて、それっぽく設計してくっつけて発注してみました。
(それっぽくとか言っているから設計失敗するんじゃないだろうか…???)

使えるものが出来上がるといいですね!

コネクタのフットプリントのミス

前の項は基板の設計忘れに関するものでしたが、ここからはすでに設計が済んだ部分のミスについてです。ミスが本当に多いですね……。

それではまずこちらのフットプリントをご覧ください。

第2回で設計していた当時から僕はずっとこう思っていました。

「表面実装用のコネクタすぐはがれそうだよなぁ…」

と。

そんなことを考えていたところ、基板を発注した後に注文していたコネクタが届きました。 私は届いたコネクタを喜び勇んで眺めまわしていましたが、するとどうでしょう!

ちゃんと固定用のパッドがありました!!!

はい。ありました、というかまず無いわけがないです。自明。私の目が節穴でした。
フットプリントを自作するときは発注する前にちゃんと正しいかどうか最後に確認するようにしましょう…

というわけで、コネクタのフットプリントを以下のように修正しました。

コネクタの選定について

今回、表面実装用のコネクタについて何も知らなかったため、エレファンテックさんの無償サンプルに使われてたものを使えばいいだろうと思って適当に採用したら割と痛い目にあいました。
というわけで、時すでに遅しではありますが改めてコネクタについて調べてみましたので、フレキに使えそうなコネクタをJST(日本圧着端子製造株式会社)さんのページ(日本圧着端子製造株式会社 - 製品情報)からいくつか紹介したいと思います。

  • FFC/FPC接続コネクタ 先ほど紹介したとおり、フラットなケーブルを接続に用いるタイプのコネクタです。今回使用しているのはこちらのタイプ。

  • 基板対電線接続コネクタ 基板と電線をつなぐタイプのコネクタ。今回、本当はこちらを使ったほうがよいであろう場面もありましたがFH12で設計してしまいました…。

  • 基板対基板接続コネクタ 基板と基板を直接接続するタイプのコネクタ。このタイプのコネクタは筆者は普段あまり目にする機会がありませんが、スマホなどの小型のデバイスなどによく用いられているようです。

ここでは三つのタイプのコネクタを紹介しましたが、いかがでしょうか? シーンに合わせて三つのコネクタを使い分けよう!という感じですね。ゲームとかの煽り文にありそうな文句。

ちなみに、コネクタについては社員のNさんが後日詳しい記事を書いてくださるかもしれないそうなので乞うご期待です!

まとめと反省

今回は、使用するコネクタについての情報収集を怠ったせいで発生した大量のやらかしについてまとめました。ここで改めて犯した罪を振り返ってみましょう。

1. コネクタのケーブルについて誤解していた
2. 補強板の存在を知らなかった
3. コネクタの種類に関して無知であり、適切な部品の選択ができていなかった

はい、設計を行う前には十分に情報を集めるようにしましょう…。 特に、今回のように使ったことのない部品を用いる際は図面などを眺めるだけではなく、できれば実際の部品を手元において設計を行えればよいですね。百聞は一見に如かず、というやつです。実物があれば、kicadで設計した基板データを実寸印刷し、部品を置いてみて設計ミスを確認することも可能です。
皆さんはぜひ私を反面教師にして、完璧なフレキシブル基板を設計してくださいね!

さて、今回はなかなかに悲しい設計ミス発覚回でした。
…ちなみにですが、この記事を執筆している現在、とっくに基板の製造が終わり部品の実装や組み立てを行っているのですが、すでに設計ミスその他が発生しております…。
とまあそんなわけで、なおさら私の精神の安定が危ぶまれる今日この頃ですが、次回以降は実際に組み立てて発覚した設計ミス等を紹介していきます。
では、今回はここまでになります。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。次回以降もどうぞよろしくお願いいたします!

おまけ

2か月前
社員のTさん「フレキシブル基板ってたのしい!という感じの記事をよろしくおねがいします」
私「わかりました!」

いま
私「こころがしんどい」

おかしい…こんなはずでは……?

   

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。 https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

【フレキシブル基板にチャレンジ!4】電卓編:メンブレンスイッチ

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

 << 次の記事 前の記事 >> 

こんにちは。高橋です。
今回の電卓のコンセプトに於いて重要な要素である、メンブレンスイッチ(またはメンブレンシート)とキーマトリクスについて解説します。

目次

メンブレンスイッチ

採用の理由

電卓等のコンソールがあるデバイスを作る上で、入力に何を用いるかというのは重要な選択になりますが、こういった個人レベルの電子工作ではタクトスイッチというスイッチを使う傾向が強いです。一番の理由は安さですね。

f:id:elephantech_shared:20171215155300j:plain △左からトグルスイッチ、マイクロスイッチ2種、スライドスイッチ、タクトスイッチ2種、DIPスライドスイッチ

ただ、せっかくフレキシブル基板を使った工作をするのなら、「ペラペラで曲げられる」メンブレンスイッチを採用すればキーパッドを丸ごと曲げられるようにできるんじゃないか…というのが、今回の丸められる電卓のアイディアの元でした。
では、ペラペラで曲げられるスイッチとはどのような構造をしているのでしょう。

メンブレンスイッチの構造

メンブレン(membrane)とは直訳で膜という意味です。つまり膜のスイッチということですが、これはこのスイッチが名前の通り数枚の膜で構成されていることから来ています。

f:id:elephantech_shared:20171204145154p:plain △メンブレンスイッチの構造。この3枚のシートを重ねます f:id:elephantech_shared:20171204145244p:plain △横からの図 f:id:elephantech_shared:20171204145253p:plain △指で押されると電極同士が接触!

図のように、スペーサーと呼ばれる穴の開いたシートを挟んで電極がプリントされた2枚の接点シートが向かい合った構造になっています。
スペーサーのおかげで普段は電極同士が接触することはありませんが、指などで押されると電極が触れ合うためスイッチとして機能するという仕組みです。

特徴

このメンブレンスイッチのメリットとして、
* 大量生産によってかなり安価に製造できる
* 防塵性・防水性に長ける(シート部を簡単に密封できるため)
* スイッチをとても薄くできる
等が挙げられます。
この特性を活かし、メンブレンスイッチは洗濯機や浴室の操作パネル等の水回り、また家電製品のリモコン等に多用されています。
また、一般的なノートPC、デスクトップPCのキーボードにもメンブレンスイッチは使用されています。

(株)ケイ・アンド・ディーさんの提供している製品です!

また、デメリットとして
* 押したときの感覚(クリック感)が無い
* シートの一部が破損した場合シート全体を交換する必要がある
* 引っ掻き等のダメージに弱い

等が挙げられます。
この特性のため、大型機械や工具の操作のボタンなど、スイッチを押した感触があったほうがいい用途にはあまり使われません。
ただ、メンブレンスイッチの中にはメタルドームやゴムドームなどを併用してクリック感を生み出しているものもあり(先述したPCのキーボードもその一例です)、残るはダメージに関する問題のみです。

f:id:elephantech_shared:20171204145912p:plain △メタルドームを採用したメンブレンスイッチの図 f:id:elephantech_shared:20171206154751p:plain △こちらはゴムドーム採用

ちなみに、一般的なメンブレンスイッチでは導通部に銀ペーストが使われます。また接点部以外の場所もスペーサーで絶縁されるため、レジストを塗布しないものもあります。
銀ペーストは酸化しやすく、また硬度的にも弱いためコネクタ等の接続部や接点部には向いていません。そういった箇所にはカーボンを上から塗布して保護することが多いですが、安価なメンブレンシートではそれすらも行われないことが多々あります。

メンブレンスイッチを採用した製品

今回の電卓製作では、メンブレンスイッチの薄さを”丸められるキーパッド”として活かす計画です。
このような利用の仕方をしている製品に、サンワサプライの「曲げられるキーボード」SKB-BT14(Amazonのリンクです)等があります。普通のキーボードと違って表面が完全にシリコンで覆われているためある程度の防水性もあるという製品です。
△SKB-BT14の画像です

今回の電卓ではキーパッドを防水にするつもりはありませんが、それでもシートの隙間に入り込まなければいくら水がかかっても機能に問題はありません。

キーマトリクス

特徴と採用の理由

今回の電卓は計18個のキーを使う予定です。
電子工作の殆どがスイッチを使うものですが、スイッチ数が少ない場合は大抵1個のスイッチに1本のピンを繋いで状態を読み取ります。

ですが、スイッチの数が多くなってくると、マイコンやICのピンの数が足りなくなることも多々あります。今回はピン数の多いマイコンを採用しましたが、片面フレキシブル基板を使う関係上配線上の制約も出てきます。

使用ピン数は少なければ少ないほど良い…ということで、それを大幅に減らせるシステムを使うことが決まりました。
それがキーマトリクスと呼ばれるシステムです。

キーマトリクスの原理

キーマトリクスの仕組みを説明します。
まず、簡単のため3×3で9個のスイッチを並べてみます。スイッチ一つ一つに信号線を用意した場合は9本の信号線(加えて1本のGND線)が必要ですが、下図のように配置することで6本の信号線のみで済むようになります。

縦の3本線はマイコンのOUTPUTに、横の3本線はINPUTに繋がって機能しています。
1~9の数字は対応するスイッチを表しており、線がクロスするポイントで電気的に繋がっているわけではありません。

マイコンがキー情報を読み取るには、3本のOUTPUTのうち1本だけをHighレベルにして、INPUTのうちHighになっているピンを探すといった方法を採ります。

△青色の数字が押されているスイッチを、赤色の線がHighになっているラインを表しています。

図のように7が押されていると、OUTPUT1がHighになった時にINPUT1がHighとなります。
逆に言えば、INPUT1がHighになっているのを検知した場合7が押されていると判断できる、というわけです。

これを各々の出力ピンで行うことで、9個のスイッチ全ての状態を読むことができます。

今回の電卓では出力側5本×入力側4本なので、9本の信号線で20個のキーの状態を読むことができます。

キーマトリクスの弱点

キーマトリクスにも弱点があります。それは、複数個同時にキーが押されている場合にキーの情報が不確実になってしまうことがある点です。
例えば、下図のような状況です。

この場合押されているのは5・7・8の3つですが、OUTPUT1がHighレベルになると、INPUT1とOUTPUT2のラインを介してINPUT2までHighレベルになります。
こうなると4まで押されていると判定されてしまうのです…!

この困った現象はゴーストキーと呼称されます。
これを防ぐには、8番のポイントでINPUT1からOUTPUT2への電流を止めるためにダイオードを設置する必要があります。

こうすればINPUT2まで電流が流れ込むことはないので、誤検知が避けられるという仕組みです。
ただ、今回の電卓では同時押しをする機会が無いので、ゴーストキー対策のダイオードは実装していません。

キーマトリクスを採用した製品

キーマトリクスの強みであるピン数の削減が最も活きるのは、スイッチの数が多い製品です。
その最たるものがキーボードでしょう。100個を超えるキーを持つキーボードの制御に、大人しく100本のピンを使っていては非効率です。
また、ゲームのコントローラや家電製品のリモコンなどでもよく使われています。

ところで、キーボードは特に同時押しをする機会が多いものですが、大抵のメンブレン式キーボードではコストカット等の理由でそういった対策は取られていません。
先述したようにメンブレンシートには銀ペーストとカーボン程度しか使わないのでフレキシブル基板は殆ど採用されず、従ってダイオードを実装できないからです。
代わりに、キーのうちよく同時押しに使われるもの(Ctrl,Shift等)を他のキーのマトリクスと分離することでゴーストキーの発生を避けています。

まとめ

今回はメンブレンスイッチとキーマトリクスについて解説しました。
例えば何か電子工作をするとき、時折ケースなどのハードも作る必要が生じます。そこにスイッチを実装したい時、3Dプリンタ等でケースを作るならばスイッチの大きさも考えて設計する必要があります。
しかしこのメンブレンスイッチならば、薄いシートを表面に張り付けるだけなので大して手間のかかる設計ではありません。便利です。

ただ、個人製作では既製品の流用以外にはほとんど利用されていません。やはり大量生産ありきのものなので単品ではコストがかさんでしまうのが辛い所だったというわけなのですが、それもエレファンテックのフレキシブル基板 P-Flex™の登場のおかげで安く作れるようになります。
或いは、将来的に家庭でメンブレンシートを印刷できるプリンターなどが開発されるかもしれません。
個人でもメンブレンシートを沢山使うような時代も間もなく来るのではないでしょうか。

次回は基板設計部のおまけ編、フレキシブル基板用のコネクタについての解説です。

参考文献

http://www.nagateku.co.jp/product/qbox.html
http://www.kandd.co.jp/custom.html

   

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。 https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み

   

 

【フレキシブル基板にチャレンジ!3】電卓編:基板設計 後編

【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ とは
【フレキシブル基板にチャレンジ】シリーズ 記事を全部見る
エレファンテック技術ブログ新企画、東工大の学生が初めてフレキシブル基板を使って、実際に電子工作する試行錯誤のレポートです。 失敗を繰り返し、本人たちは落ち込んでいることも多いのですが、読者のみなさん目線からすると、逆にものすごく参考になるのではないでしょうか。 とても面白いシリーズです!

 << 次の記事 前の記事 >> 

こんにちは、平野です。

今回はフレキシブル基板にチャレンジ!電卓編:基板設計の後編です。(前編はこちら
前回に引き続き、どんどん基板の設計を進めていきたいと思います。

さて、後編では、前編で配線まで終わらせたプリント基板の設計の手直しから基板のチェック、発注の際のデータの出力について扱っていきます。
それではさっそく本編とまいりましょう!

目次

プリント基板の設計(前回の続き)

前回の記事では、プリント基板の設計を配線まで終わらせました。今回はその手直しからしていきたいと思います。

3. 設計の手直し

フレキシブル基板に馴染みのない方は、この項目を見て「手直しってなんだ?」と思われたかもしれません。しかし実は、フレキシブル基板はただ配線をしただけでは設計が不十分なのです。そしてこの作業こそ、フレキシブル基板の設計をする上で最も私がリジッド基板との違いに苦しんだ部分なのです。

  • 何を調整するのか?

フレキシブル基板はその特性上曲がった状態で使われることが多いため、特殊な耐久性上の問題が発生します。
今回はそこの解説がメインではないため結果だけ書きますが、大雑把には以下のような対策をとらなければなりません。

  • コーナーを曲線で設計

  • 角を丸める(ティアドロップ、Filletなどと呼称する形状)

       

(注:ここに記した注意点はあくまで一部です。詳細は、フレキシブル基板 P-Flex™️ 設計のコツ「パターン設計編」 - エレファンテック 技術ブログに丁寧な解説が載っています!)

  • どのように調整するのか?

実際に調整をする方法は、CADソフトによって千差万別です。あらかじめティアドロップの作成機能が実装されているものもありますし、されていないものもあります。
実装されていたならば、ありがたくそれを使わせてもらいましょう。

されていない場合の解決方法には、大まかに分けて二つあります。

  1. どこかの親切な方が作成したプラグインを用いる方法
  2. 温かみのある手作業で一つ一つ丁寧にクリアする方法

ちなみに、この作業ははっきり言って手作業でやるとかなり面倒な作業です。皆さんがフレキシブル基板を設計する際は、できる限りあらかじめティアドロップ作成機能が実装されているCADを用いることをお勧めします。

  • さあ実際にやってみよう 〜なるべく楽がしたい〜

ここからは、僕の使用しているKicad 4.0.6で実際に作業をしてみた記録になります。

さて、早速ですが、kicadにはティアドロップが実装されているのかといいますと、残念ながら実装されていません…
仕方がないので、次にプラグインが公開されていることを信じて検索してみると、

どうやら公開されているようです!

kicadの場合、ティアドロップを作成するスクリプトはGitHub - svofski/kicad-teardropsに公開されていました。
開発してくださった方に感謝しつつ、早速使ってみましょう!

……ティアドロップが0個作成されました……

困った私はスクリプトのコードものぞいてみましたが、正直に白状すると私はkicadについて全く詳しくないため、何が原因で動かないのかさっぱりわかりません。お手上げです…
というわけで、ここからは温かみのある手作業によって基板の調整をおこなう方法を紹介していきたいと思います。

  • さあ実際にやってみよう ~やっぱり最後は力技で解決!!~

ここからは楽をする道を捨て、力技で解決する方法について解説していきます。
今回、ティアドロップを自動で作成してくれる機能を使用することができないため、下図の例のような滑らかな曲線を用いて角をとることは少し難しいです。

   

そのため、今回は下図のように、四角形の頂点から配線を出すというテクニックを用いて設計の手直しをしていきます。(詳細はフレキシブル基板 P-Flex™️ 設計のコツ「パターン設計編」 - エレファンテック 技術ブログをご覧ください)

この方法を用いて手直しをした結果が以下の写真です。

f:id:elephantech_shared:20171208150336p:plain f:id:elephantech_shared:20171208150351p:plain

ちなみに今回、コネクタ部分などのパッドが密集している部分で配線を矩形の頂点から出すために、コネクタのフットプリントに以下のような変更を加えました。

Before▽
f:id:elephantech_shared:20171208150509p:plain

After▽
f:id:elephantech_shared:20171208150526p:plain

ちなみに、上記の方法は、僕が行き当たりばったりで思いついた方法をとりあえずやってみたに過ぎません。僕がkicadについてよく知らないだけで、もっと手軽で楽な方法があるかもしれないというわけなのです…。

というわけで、もし今後そのような方法を発見することがあればまたその時に記事を更新するということにして、今回はこの方法を紹介するにとどめたいと思います。

最終チェック

最後に、設計した基板が製造仕様を満たしているかどうかの確認をしたいと思います。

Kicadには、DRC(デザインルールチェック)機能が実装されており、製造仕様をきちんと満たしているかどうかの確認を簡単に行うことができます。

まずは、デザインルールの設定を行うために、エレファンテックさんのフレキシブル基板の製造仕様を設計・製造データ例 ダウンロードのページで確認します。
とりあえず、今回確認したいポイントはパターン間隔なので、エレファンテックさんの仕様に合わせてクリアランス(パターンの間隔の最小値)を0.2mmに設定します。

(ネットクラス等の解説は記事の趣旨から逸脱してしまいますので省きますが、いろいろと便利な機能です。)

クリアランスの設定を行ったら、DRC(デザインルールチェック)を実行します。
そうすると、下のようにDRCが実行され、設計した基板にパターン間隔に関する問題はないということがわかります。

ところで今回の基板では、[未結線情報の一覧]をクリックすると下のように未結線情報が表示されてしまいます。しかしこれは、片面配線しきれずジャンパー線を用いて処理を行う部分がエラーとして出ているだけのものですので、今回はこれで問題ありません。
とはいえ、意図しない未配線がある可能性もありますので、出たエラーは念のため一つ一つ確認することをおすすめします。

最後に、配線間隔についてエラーが出る場合どのような表示になるのかも一応お見せしておきましょう。
試しにクリアランスを0.3mmにしてDRCを実行すると…

エラーがたくさん発生し、マーカーが大量発生しました。わかりやすいですね!

以上、DRCの機能を紹介させていただきました。いかがでしたでしょうか?
DRCを用いることで、パターン間隔について簡単にチェックできることをおわかりいただけたかと思います。
しかし、DRCで確認できない事項もいくつか存在します。
例えば、外形とパターンの間隔に関するチェックはDRCではできません(もしかすると僕が知らないだけでできるのかもしれませんが…)。
最後にそれらの細かい事項を自分で確認し、基板は完成です!

完成

ついに基板データの完成です!とりあえずpdf形式にしてみました。
左のちっこいのがマイコン等を載せたメイン基板、右の大きいのがメンブレン式のスイッチ基板です。ここまで長かったですね…

発注用データ出力

基板データが完成してこの記事もおしまいかと思いきや、まだまだ記事は続きます。
最後に、kicadで発注用のデータを出力していきます。

まず、エレファンテックさんが受け付けているファイルの入稿形式について、エレファンテック技術ブログ - フレキシブル基板(FPC) P-Flex™の入稿ファイル形式【初心者向け】を参照してしっかり確認を行います。

今回は片面フレキシブル基板なので、必要なのは表面の銅箔、シルク、レジストマスクのレイヤ、そして基板の外形線のレイヤになるので、そのようにチェックを入れます。
(ちなみに、「ガーバーオプション」の部分に「拡張属性を含む」というチェックボックスがありますが、結論から申し上げると、このチェックボックスにはチェックは不要だそうです。エレファンテックさんのサイトに「RS-274X(拡張ガーバーフォーマット)」と記載があり混乱したのですが、kicadにある拡張属性はまた別のものなのだとか。ややこしいですね…。ただ、誤ってチェックボックスにチェックを入れてしまった場合でも、印刷はきちんとできるそうです。さすがです)

正しくチェックを入れたら、出力先を指定し、[製造ファイル出力]をクリックします。

これで、製造ファイルを正しく出力することができました。

出力したファイルは、kicadの場合ガーバービューアで確認することができます。発注する前にこれで確認しておくとよいかもしれませんね。(下は表面マスクデータを表示した例)

まとめ

さて、今回は記念すべき初フレキシブル基板設計の回でした! とりあえず、初めてのフレキシブル基板設計で苦労したところをまとめてみたいと思います。

  • 部品探し:普段使わないものなので、表面実装用のコネクタを探してくることに少し手間取りましたね。とりあえずよくわからないときは既存の真似をするという作戦で乗り切りました。…乗り切れているんですかね……?

  • 片面配線:リジッドで両面使えることのありがたさを思い知りました。やはり片面だとマイコン周辺の配線等がかなりツライです。といっても、ジャンパー線を使えば簡単に解決ができるので、ある程度単純なものであれば問題なく設計可能であることもわかりました。

  • ティアドロップ・曲げ配線:正直これが一番とっつきにくい問題に感じました。記事ではさらっと「解決方法は~」なーんて書いてありますけれども、正直最初は本当にどうしたらいいかわかりませんでした。しかも今回用いた方法はあくまでベストではなく単なるベターなのです…。これをお読みの皆さんにはぜひティアドロップ作成機能付きのCADを使っていただきたいと思います!

苦労した点はこんなところでしょうか?始める前は多少身構えてしまいましたが、終わってみると意外とすんなり設計できてしまったようにも感じられますね。
といっても、今回はあくまで基板の設計をしただけ。これを実際に使って動作を確認するのはまだ先のお話というわけです。もしかするといざ動かしてみれば問題が発生するかもしれません。というか、こういう物はたいてい一発ではうまくいかないと相場が決まっております。

というわけで、今回の基板設計編の記事はここまでとなりますが、今後は今回設計した基板を実際に使用し、発覚した問題点等々を記事にしていく予定です。

それでは今回はここまでになります。ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
次回は本文中でちらっと触れたメンブレンシートについての解説記事となります。お楽しみに!

参考文献

   

twitterやfacebookでも記事宣伝する予定なので、ぜひフォローをお願いします。 https://twitter.com/elephantech_Inc
https://www.facebook.com/elephantech.jpn/

以下のフォームでご感想やご質問もお待ちしています!

   

   

ご感想・ご質問

   

 

 P-Flex™ 製品ページを見る

『P-Flex™』無料サンプルを申し込む
 P-Flex™ 製品ページを見る

フレキシブル基板 無料サンプル申し込み