エレファンテック 技術ブログ

フレキシブル基板製造開発ベンチャー企業 エレファンテック(旧:AgIC)株式会社の技術ブログです。

フレキシブル基板 P-Flex™の入稿ファイル形式【初心者向け】

入稿ファイル ガーバーファイル

エレファンテックではオンラインで、フレキシブル基板のご注文ができますが、フレキシブル基板 P-Flex™ に興味はあるものの、入稿ファイルの形式がよく分からないという声をお客様から聞くことがあります。
この記事では現在サポートされている二つのファイル形式とその特徴について紹介します。
入稿ファイル形式

現在、P-Flex™を製造するためには、以下のファイル形式のどちらかで入稿していただく必要があります。

  • RS-274X(拡張ガーバーフォーマット)
  • Adobe® Illustrator®

RS-274Xはフレキシブル基板を含むプリント基板の製造の際に広く用いられている形式で、多くの回路CADから出力できます。一方で、電子回路の設計を専門としない方にも広くP-Flex™をご利用していただきたいという思いから、定番ドローイングソフトウェアのAdobe Illurstrator形式での入稿も受け付けています。

エレファンテックでは初期費用ゼロ、短納期での製造を実現するために、データチェックを含めた製造の自動化を進めています。そのため現在は限られたファイル形式のみの対応となっていますが、DXFなどその他のファイル形式のサポートも検討中ですので、ご要望がありましたら contact@elephantech.co.jp までご連絡ください。

* AdobeおよびIllustratorは、Adobe Systems Incorporated(アドビ システムズ社)の商標です。

RS-274X(拡張ガーバーフォーマット)

プリント基板の製造にはガーバーフォーマット、ガーバー形式などと呼ばれるファイル形式が世界的に利用されています。以前はRS-274D(標準ガーバーフォーマット)と呼ばれる形式が主流でしたが、過去の製造機械のために作られたフォーマットであり、現代ではファイルが重くなりがちなことや取り扱いが煩雑なことから次第に利用されなくなって行きました。

そこで新しい形式として設計されたのがRS-274X形式です。RS-274D形式に機能を追加した形式なので拡張ガーバーフォーマットとも呼ばれています。業界標準のフォーマットのためファイルを編集するプログラムも多く存在し、エレファンテックでも自動で製造用のファイルに変換するプログラムを開発しています。

多くの回路CADでRS-274X形式を出力できますが、エレファンテックではEAGLEQuadceptなどをよく利用しています。

Adobe Illustrator

アドビ社によるIllustrator(イラストレーター)は定番ドローソフトとしてご存知の方も多いと思います。デザイン・イラストレーションなどの分野で広く利用されていますが、フレキシブル基板の回路設計ツールとして利用することもできます。

ベクターイメージを表現することに特化したファイル形式のため、線や円、長方形などで構成される電子回路(実体配線図)にも適しています。

電子回路設計を専門にしている方が利用される機会は少ないかもしれませんが、エレファンテックのお客様の中にも、より複雑な形状が設計しやすいことからあえて回路CADではなくIllustratorを利用して設計されている方もいます。

Illustrator形式は非常に複雑な形式でありまたプリント基板業界で一般的に利用される形式でもないことから、ファイルのチェックや編集を自動化することが難しく、エレファンテックではIllustrator形式の入稿には製造費とは別にファイル編集費をいただいています。

二つのファイル形式の特徴に応じて設計しやすい方で入稿していただくと良いと思います。それぞれのファイル形式で設計する際の注意点に関して改めて記事を書く予定です。

(野村 浩気)

   

エレファンテック P-Flex™オンデマンドは、 オンラインでお見積り・注文できるサービスです。

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フレキシブル基板 P-Flex™の高周波特性について

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最近、高周波回路に関するご質問を受けることが多くなってまいりました。そこで関連する情報をまとめます。

まずP-Flex™基材のフィルムのスペックは、下記の125μm PETフィルムの誘電率、誘電正接の項目をご参照ください。
ベースとなるフィルムの材質の違いについて - エレファンテック 技術ブログ


 また、P-Flex™のソルダレジストのスペックに関しては下記の表を参照ください。

 試料名   試料厚   周波数  誘電正接率 [%]  誘電率 [%]
 インクジェットソルダーレジスト  25μm  1kHz  1.55  2.5
 10kHz  2.11  2.5
 100kHz  3.94  2.4
 1MHz  3.23  2.2

P-Flex™の導体部分の精度は±50μmです。
詳細はこちらをご参照ください。

弊社では、基材の薄膜化による曲げ耐性強化のみならず、鋭意電気特性の良い素材の研究開発を行っておりますが、直近では125μm のPETフィルムと、上記のソルダレジスト、あるいはソルダレジストなしでの対応になります。
よろしくお願いします。

(杉本雅明)

   

エレファンテックは世界で初めてインクジェットによる産業用回路基板製造を実用化し、現在産業用途への展開を進めています。プリンタブル・エレクトロニクス技術により、製造工程を大幅に簡略化しました!

www.elephantech.co.jp

   

【勉強会シリーズ:1】FPC設計勉強会(仮)の取り組み

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こんにちは!エレファンテック株式会社 技術営業の安部です。
エレファンテック株式会社では、月1回定期で「P-Flex™勉強会」をスタートいたしました。今後は【勉強会シリーズ】としてブログでご報告していきたいと思います。

エレファンテック株式会社「P-Flex™勉強会」とは
技術者を中心に、フレキシブル基板の設計や、実装について「技術的な雑談」をする会です。
リジッド、FPCなどの基板設計経験がある方ならば、どなたでも参加可能となっております。雑談の上で発生した、設計・実装などのお困りや、FPCで使われている部品の選定情報などを共有する事でFPC設計を行う技術者の支援コミュニティを作る事を目的としています。
第一回勉強会後報告
第一回目は8月31日(木曜日)、本郷三丁目のラボカフェで開催。
参加者は弊社フレキシブル基板 P-Flex™のユーザー様を中心として6名。
自己紹介の後に、P-Flex™で作られたFPC基板を実際に見ながら、お困り点 ・工夫点をざっくばらんに話す雑談する会となりました。

トピックを挙げますと
お困り解決!
「短いアールの曲げに対して半田付けがとれる」
とのお困り点を
「スリットを入れ、応力を逃して部品脱落を防ぐ。」というアイディアで解決しました!

P-Flex™の違い
実際のユーザー目線でのP-Flex™の利点も挙げていただきました。
「リジッドの温度センサ基板に比べ、P-Flex™の基材である耐熱PETは吸湿が無く、センサーデータにノイズが乗らない」」
「レーザーカッターでのカットなので、好きなだけカットを入れる事が出来、工夫によっては大きなメリットを生む可能性がある。」
今後の勉強会について
次回は9月25日(月曜日)を予定。場所は未定です。
利用ユーザー様に協力を頂いて、テーマとなるP-Flex™基板を持ってきて頂いて、お困り解消をベースに技術的な雑談ができればと思っています。

参加者の案件によっては、守秘義務もあるため、こうしたブログなどで開示できる情報はほんの1部です。上記以外にも設計に必要な多くの情報が共有されております。

現在、Facebook上で非公開グループとして活動しております。ご興味のある方は弊社HP、またはFacebookグループの方から参加希望をお願いします。

FPC設計勉強会(仮)
https://www.facebook.com/groups/227605877765072/

(安部 徹)

   

2017年9月4日付で社名を「エレファンテック株式会社」に変更いたしました。

新社名「エレファンテック」は、象「エレファント(Elephant)」とテクノロジー(Technology)の 「テック」を合わせた造語です。エレファントは、「あらゆる障害を乗り越える」ことから、商業や富の神としても知られており、「叡智を結集し、あらゆる障害を乗り越えながらも、未踏のテクノロジーを生み出し続けていきたい」という我々の強い思いが込められています。

https://www.elephantech.co.jp

エレファンテック(旧:AgIC)株式会社 社名変更のお知らせ

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2017年9月4日付でAgIC株式会社からエレファンテック株式会社へと社名を変更しました。
新会社名:エレファンテック株式会社
新URL :https://www.elephantech.co.jp
 
今後も新たな価値の向上とさらなる成長を目指してまいります。 
現在は新工場を整備中で、生産体制の拡充を図って行く予定です。

社名変更に伴い、ブログ名も エレファンテックブログとし、URLも変更となりました。

https://blog.elephantech.co.jp

お手数をおかけしますが、ブックマークや読者登録の変更をお願いします。


今後とも、エレファンテック株式会社をどうぞよろしくお願いいたします。

【インタビュー】萩原丈博さん

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ソニー株式会社 新規事業創出部 MESH project リーダーを務める萩原丈博さん。
Maker Faire Tokyo 2017の会場で、お話を伺いました。

(杉本)
MESHの萩原さんです。

(萩原さん)
どーも。MESHの萩原です

(杉本)
MESHというのは、いろんな人が簡単に電子工作できるツールですね。
閾値をさげるというというのはすごく大事ですよね。

エレファンテック(旧:AgIC)も、閾値を下げるというのでは、
(フレキシブル基板製造が)安いし早いというので、
そういう点がエレファンテック(旧:AgIC)と似ているもありいっしょにできる未来もあるかなと。

(萩原さん)
そうですね、はい。

(杉本)
そういった意味では前からいっしょにやっていますよね、僕らね。

(萩原さん)
そうですね、はい。

(杉本)
3年前からSXSWでいっしょに展示しましたね。
http://thebridge.jp/2015/03/todai-to-texas-sxsw-2015-part-2

(杉本)
ぼくらはモノが(当時からは)進化してしまっていますが。
何かこういうのができそう、できたら面白そうということはありますか。

(萩原さん)
去年ハロウィンでやった、

(杉本)
やりましたね。FabCafeで。
http://atoms.loftwork.jp/20161125_howtousemtrl/

(萩原さん)
そう、FabCafeで。

(杉本)
ライブペイントと合わせて壁に電線を印刷で這わせて
MESH充電しながら、ボタンを押したりとかアクションすると
光ってフォトブースになっているというショーウィンドウですね。

(萩原さん)
MESHというのはセンサーが小さいので、
ダイナミックなものはMESHだけではできないのですが、
逆に、印刷で、あれだけダイナミックなものができると、
大きいものでもインタラクティブなものが
すぐできるというのは面白いかなと。

(杉本)
ある企業のショールームの入り口のガラスのドアに、
エレファンテック(旧:AgIC)の(基板)でちょうどA4 2枚分をつなげて大きくして、
A3サイズの照明をデザインして
貼ってもらっているんですよ。
貼れるという面白さがあって。

MESHも小さいじゃないですか。
うまく基板をはって、ブルトゥースにして(やっても面白そうですね)。
(MESHは)結構長い時間(電池が)持ちますよね?

(萩原さん)
はい。

(杉本)
それを生かして、なんかこう「貼れるインタラクティブな壁紙」
みたいなものができると面白そうですよね。

(萩原さん)
そうです。はい。

(杉本)
最近、ミニ四駆も作っている人多いじゃないですか。

(萩原さん)
はい。

(杉本)
ああいうのも(使われる回路基板が)ドローンとかにも乗るサイズではないですか。

(萩原さん)
結構やってもらっていますね。

(杉本)
それにも、エレファンテック(旧:AgIC)とコラボしたいな。
やって使ってもらいたいな、と。

センサーをちゃんとした位置に置くとか
重さ的に軽いというのはプラスなんじゃないかな。

(萩原さん)
大人のミニ四駆のレースはすごくて、
コースアウトをわざとしやすくして難しく難易度を上げていて、
スピードを途中でかえるということをやられていて
コースアウトしやすそうなところはスピードを落として
他をめちゃはやくするという。
それの制御で(MESHの)GPIOをつけてもらっていて..

(杉本)
そういうのはぜったいエレファンテック(旧:AgIC)の基板(との組み合わせ)がぴったりだと思います。

(萩原さん)
はい、ぴったりだと思いますね。

(杉本)
印刷でいい位置に(センサーなどをつけて)
いっしょに今後広めていけたらうれしいと思います。

(萩原さん)
はい、ぜひぜひ。

(杉本)
(お忙しいところ)すみません。ありがとうございました。

(萩原さん)
いえいえ、こちらこそ。よろしくお願いします。

.

 

meshprj.com



   

P-Flex™は、ピュアアディティブ™法によって製造されるフレキシブル基板です。エレファンテック(旧:AgIC)の開発したピュアアディティブ™法はこれまでとは全く逆の発想で、必要な部分にのみインクジェットで金属ナノ粒子を印刷し、さらに無電解めっき技術で金属を成長させるという 製造方法です。

www.elephantech.co.jp

【インタビュー】小林 茂先生

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情報科学芸術大学院大学[IAMAS]教授、Ogaki Mini Maker Faireの総合ディレクターも務める小林茂先生。
Maker Faire Tokyo 2017の特別企画「Prototype to Product—プロダクトをつくるということ」のセッション後、フレキシブル基板のこれから、についてインタビューしました。

(杉本)
フレキシブル基板をインクジェットで10分の1の値段で作れるようになってきましたが これから新しく作ろうとしている人へ どいうふうにみんなが何をつくっていったら面白いだろうか、ということをお聞かせ頂けますか。

(小林先生)
今までの常識であれば、例えば基板は基板、実装は実装とわかれていましたが (これからは)全部いっしょにやっちゃう!という発想が みんなやりたいことではないかと思います。
すでに実装サービスも始められていると思いますし「 なんでもかんでも」はできないでしょうけど、 よく使われる部品がいっしょに実装されるというような。

(杉本)
それは(弊社は)できました!
(部品を)送ってもらって、いっしょに工場に送って実装するという形ですが。
ただ、最近(の事例では)カーブすることに慣れていないから 裏板のことがよく理解できていない。それで壊れしまう。
今までのリジッドの人たちがフレキを作ろうとして、そこで新しい問題が起きていて、それで、新しい勉強会を開こうかなと思っています。
今まさに、新しいものが生まれようとしている瞬間に来ていますが その新しい方法などで、新しい問題も起きているので、 新しくコミュニティを作っていかなくてはと思っています。

(小林先生)
それはとてもいいと思いますね。
そういうものを含めたライブラリーになっていくと それを組み合わせていくだけでもできていくと思う。

(杉本)
まさにそうですね。

(小林先生)
今までの常識からすれば、 熟知しているエンジニアがやるのが常識だよね、 というところから今は違うところにきているので そういう(これから新しく作ろうとしている)人たちへ向けた違うやり方があると、 より広がっていく気がします。

(杉本)
むしろそのあたり、いっしょにプロジェクトをやりたいですね。

(小林先生)
ぜひぜひ、はい!

(杉本)
今までは、10万円20万円かかっていたものが、今までの方法で、無難な設計で(製造するしかなかったですが)、(価格が)10分の1になると、何回かやってみて、 試してみてこうやってみたらどうだろう?と新しいものをつくる。今までのオーソドックスな概念から違ってきてもいいんです。
新しい回路を作るユーザーさんをみていると、(新しい試作サイクルから)生み出しているように思う。
新しい形状のものに広がっていく、 新しいフェーズのように思えるので、 小林先生にぜひそのあたりをご相談させて頂きたいと思っています。 

(小林先生)
はい。ぜひやってみたいですね。

(杉本)
それでは1回伺って大垣(IAMAS)でお話を

(小林先生)
ぜひ遊びにいらしてください。

(杉本)
よろしくお願いします。

(杉本)(小林先生)
ありがとうございました。

.

 

www.iamas.ac.jp




   

P-Flex™は、ピュアアディティブ™法によって製造されるフレキシブル基板です。AgICの開発したピュアアディティブ™法はこれまでとは全く逆の発想で、必要な部分にのみインクジェットで金属ナノ粒子を印刷し、さらに無電解めっき技術で金属を成長させるという 製造方法です。

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ベースとなるフィルムの材質の違いについて

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通常のフレキシブル基板のベースとなるフィルムはポリイミド製のものが多いのですが、弊社のものはPET製でできています。
これらの違いを各スペックで比べてみましょう。

  25μm ポリイミドフィルム
(代表値)
125μm PETフィルム
(代表値)
引張強度(MD) [MPa] 330 210
引張強度(TD) [MPa] 330 230
引張伸び(MD) [%] 80 207
引張伸び(TD) [%] 80 153
密度 [g/cm3] 1.42 1.4
融点 [°C] なし
(800°C以上で炭化開始)
260
吸水率 [%] 2.3 0.4
水蒸気透過率 [g/m2/24hr/0.1mm] 84 6.9
酸素透過率 [cc/m2/24hr/atm]

223.2

15.2

絶縁破壊電圧 [kV/mm] 380 300
体積抵抗率 [Ω・cm] 1x1017 1x1017
誘電率(1kHz) 3.4 3.3
誘電率(1GHz) 3.2 3.2
誘電正接(1kHz) [%] 0.24 0.2
誘電正接(1GHz) [%] 0.85 1.0
使用加工可能温度範囲 [°C] −269 ~ 400 ‐70 ~ 180

ここで出てくるMD、TDというのはフィルムの製造時に流れ方向の向きと並行の方向か直角の方向かの違いを示す言葉です。
MDはMachine Direction で流れ方向、TDはTransverse Direction の略で、フィルムはこの製造時の方向で物理的特性が一部違います。

ここからわかるそれぞれの素材の利点欠点を見てみましょう。

 

ポリイミドフィルム

PETフィルム

利点

  • 高耐熱性があり、通常のはんだ付けが可能
    配線の温度が上がりやすい大電力伝送にも使用可能
  • 低コスト
  • 通常の温度範囲で運用する上では十分な温度耐性と強度がある
  • 高いガスバリア性、湿気にも強い

欠点

  • 高コスト(PETの100倍)
  • ガスバリア性が低めで酸素や水分を通しやすい
  • 耐熱性が低めなので、熱を持つ電力伝送回路に使う際は注意が必要。 また通常のはんだは使用できず低温はんだのみ対応
  • GHz帯の誘電正接はポリイミドより少し悪い

ベースフィルムの材質によって様々な利点欠点がでてきます。これに加えて、フィルムの厚さで機械特性、電気特性が変わってきます。この点に関してはまた別の記事でご紹介したいと思っています。

弊社では、PETフィルムベースの回路でも部品実装が可能な低温はんだの推奨と部品実装サービスを提供しております。詳しくは低温はんだの解説ページをご覧ください。

(杉本雅明)

   

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フレキシブル基板の製造方法の違い

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フレキシブル基板の製造方法に関しては、大まかに分けると、 サブトラクティブ法、セミアディティブ法、フルアディティブ法の3通りのアプローチが存在しています。 ところが、エレファンテックが展開するP-Flex™フレキシブル基板はこれら3種とは違う、新しい、ピュアアディティブ™法とでも言うべき方式で製造されています。
その製造手法の違いについて片面基板を例に説明したいと思います。
1.サブトラクティブ法
不要な銅箔を取り除く、引き算の方法で目的の回路パターンを形成する方法です。具体的には、フレキシブル銅張積層板(Flexible Cupper Clad Laminate, FCCL)上の銅箔をエッチングレジストでマスクをした後、回路以外の銅箔をエッチングで除去、最後にエッチングレジストを除去することで回路を形成します。
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2.セミアディティブ法
FCCLとは違い、めっきシード層となる金属薄膜がスパッタリングなどで形成されたポリイミドフィルムなどがベースになります。このメッキシード層付フィルムに、めっきレジストのパターンをフォトリソグラフィーなどにより形成し、電解銅メッキを行って回路パターンを成長させ、次にメッキレジストを除去してから、不要な部分のめっきシード層を溶かす分だけエッチングして完成となります。
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3.フルアディティブ法
文字通り何らかの材料の除去は行わず、材料を足すだけで形成する方法です。例えば全面がキャタライズ(触媒化)されたポリイミドフィルムに、レジストを形成させて、残った場所に無電解銅メッキを施すことでフレキシブル基板が完成します。
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4.ピュアアディティブ™法
この方式は弊社が採用する新しい回路製造方法で、純粋に形成したい部分にだけ選択的に物質を積層していく手法です。まず、基材フィルムの回路を形成したいところに、銀ナノインクをインクジェットでパターニングし、次に無電解銅メッキを施してパターンを成長させて完成させます。ソルダーレジストを塗布する際は、その後にインクジェット等の方法で塗布することになります。
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弊社のピュアアディティブ™法は現在プロセスで銀をシード層に使用しているため、イオンマイグレーションの可能性を指摘されることが多いのですが、試験の結果実用レベルでは問題ない結果が出ています。詳しくは該当項目をご参照ください。
弊社では、このピュアアディティブ™法で製造されたフレキシブル基板のことを
P-Flex™と命名し、展開しております。

(杉本雅明)

   

エレファンテックは世界で初めてインクジェットによる産業用回路基板製造を実用化し、現在産業用途への展開を進めています。標準3営業日で発送。プリンタブル・エレクトロニクス技術により、製造工程を大幅に簡略化しました!

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P-Flex™へのご質問・ご相談を承ります。
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「低温はんだは壊れる」は昔の話!低温はんだとはんだの歴史

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こんにちは、代表の清水です。エージックブログ第一弾は低温はんだについてです。弊社で製造している印刷フレキシブル基板 P-Flex™(旧AP-2) は低温はんだと組み合わせて使うことが多いため、よくご質問頂く部分です。
はんだとは
さて、低温はんだの前にそもそもはんだとは何でしょうか?はんだとは金属同士を接合するために用いられる合金で、融点が450°C以下のものを指します。接合したい金属と金属の間にはんだをはさみ、融点より高い温度をかけることではんだを溶かして金属同士を接合します。
はんだは実は色々なところで使われており、ブリキの接着、水道管の接合などにも使われていますが、ここではプリント基板の上に電子部品を固定するために用いるはんだについてお話したいと思います。
共晶はんだと鉛フリーはんだ
プリント基板に用いるはんだは、「融点が低く」「強度が大きい」ものが望ましいとされ、歴史的に融点184°Cの共晶はんだ(スズ63%、鉛37%)がよく使われてきました。融点が低いほうが望ましいのは、はんだ付けの際の必要なエネルギーが減ること、繊細な電子部品に高温をかけなくて済むことが主な理由です。
ですが現代に入り、鉛の有毒性が注目され、2006年にはついにRoHS指令として、EUでの鉛入りはんだの使用が原則として禁止されました。そこで利用されるようになったのが鉛フリーはんだです。鉛の代わりに銀、銅などを用いることで、鉛を用いずにできるだけ融点を下げたものです。
RoHS指令を解決した鉛フリーはんだですが、「鉛が使えない」という制約のため、融点が200°C以上と高くなってしまうという問題がありました。融点が高いとはんだ付けに必要な温度が250°Cなどに上がってしまい、はんだ付けのコストが上がってしまいます。
低温はんだ
それに対し、ビスマスやインジウムなど全く別の金属を加えることで、融点を劇的に下げることができないかという研究が行われてきました。そういったアプローチで開発され、融点がおおよそ共晶はんだより低いもの(184°C以下)が低温はんだです。ただ残念ながら、RoHS指令施行の2006年時点の技術では、
・高価な金属が必要でコストが見合わない
・脆い、高温高湿耐性が悪いなど、耐久性に難がある
といった問題があり、低温はんだがメインストリームになることはありませんでした。この時、一部で「低温はんだは脆くて使い物にならない」というような悪いイメージが形成されてしまいました。
低温はんだの見直し
RoHS施行から10年後、材料技術の発展により、再び低温はんだに注目が集まるようになってきました。10年前はとても使い物にならないと言われていた低温はんだの強度・コスト・耐久性などが劇的に改善し、また融点も180°Cよりもさらに低いものも現れてきました。
そんな中、2017年2月、中国Lenovo社から大きなリリースが発表されました。ノートパソコン用基板の製造プロセスに融点140°C台の低温はんだを採用し、プロセスの温度も180°Cとこれまでより70°Cも低くすることに成功したということと、なんとそれが既に2016年から製造されているThinkpad X1 Carbonに既に搭載されているというものでした。
http://www3.lenovo.com/jp/ja/news/article/2017-02-07
当時、低温はんだについては水面下での利用が広がっていましたが、ノートパソコンのような高信頼性が要求される製品で、しかもプロセス温度を既存のものより一気に70°Cも下げることに成功した、ということが公表されたのは初めてでした。プロセス温度を70°Cも下げられれば、プロセスコストを劇的に下げられるだけでなく、基板や部品に対するダメージも減るため、不良率も下げることができます。
低温はんだのさらなる展開
低温はんだにはもう一つ大きな利点があり、それは低温でプロセスが可能なため、耐熱性の低い素材でできたプリント基板を利用することができるということです。
ここでようやく弊社が製造するフレキシブル基板の話になります。弊社が印刷+無電解銅めっきで製造するフレキシブル基板は、ポリエチレンテレフタレート(PET)をベース素材としています。弊社が用いているPETは耐熱PETですが、それでも耐熱性は既存の基板に比べれば低く、従来の鉛フリーはんだで250°Cといった温度ではんだ付けをしようものなら、たちまち歪んでしまいます。
ではなぜ弊社はPETをベースにしたものから始めているのでしょうか?実は、ここまで記載した低温プロセス化への流れを見込んでのものでした。
現在、弊社のPETベースのフレキシブル基板 P-Flex™(旧AP-2)は、Lenovo社でも使われているような融点140°C台の低温はんだを用いて180°C程度でリフローする、というプロセスを採用し、十分にはんだ付けが可能となりました。さらに今では、一般のプリント基板実装工場でも低温リフローに対応して頂けるところが増えてきたため、より簡単に部品実装対応が可能になりました。
今後、こういった低温はんだの利用はどんどん広がっていき、特に高い耐久性が必要な部分(例えば常時150°Cの高温にさらされるなど)を除けば、低温はんだがメインストリームとなっていく可能性は高いと考えられます。もしまだ低温はんだを使ったことが無いという方がいらっしゃれば、是非使ってみて下さい。クリームはんだだけでなく、糸はんだでも低温はんだが一般的に入手できるようになっています。
余談ですが、低温はんだをもし手はんだする場合、こて先は必ず通常のはんだ用と分けるようにして下さい。これは低温はんだに限らずですが、複数のはんだの材料が混ざると不良の原因になります。

(清水信哉)

   

エレファンテックは、「印刷技術でものづくりを早く、安く」という理念のもと、電子回路の製造技術を根本から変えるスタートアップです。現在、下記職種を募集中です。
新しい要素を積極的に学んでいき、適応していくのが好きな方、ぜひご応募ください!

www.elephantech.co.jp